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ALOISE(アロア)  作者: 十八谷 瑠南
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ボーマンたちの目的

◯グウィネヴィア

「え?」

「旧王族のグウィネヴィアだよ。前王の娘」

「え、ええ」

「そいつと知り合いじゃないか?貴族なら旧王族となにかしら繋がりがあるだろ?」

「え?ええ」

「あんたさっきから、え?しか言ってねえな」

そう言ってトリスタンはにやっと笑った。

そりゃそうじゃない。

だって私がそのグウィネヴィアなんだから。

「どうして?旧王族に何か用があるの?」

「それは会った時にグウィネヴィア本人に話す」

だから私なんだって。

まあ咄嗟に嘘の名前を言ったのは私なんだけど。

「さすがに目的を聞かないと会わせてあげることは」

「おい!なんでも望みを聞くっていったじゃねえか!」

トリスタンが椅子から立ち上がった。

「いくらなんでも目的がわからない人たちを旧王族の人に会わせるわけにはいかないわ」

「いいじゃねえか。グウィネヴィアに会いてえんだよ!俺たちは!」

「だから」

「じゃあもういいよ。グウィネヴィアの居場所は?どこに住んでんだ?もう直接行くよ」

年下のトリスタンに何度も呼び捨てにされてグウィネヴィアは少しむっとした。

「あのね、トリスタン。居場所をあなたに教えてもいいけど、そんな失礼な態度で会いに行っても追い出されるわよ」

「なんだよ。グウィネヴィアってお高くとまってる奴なんだな」

グウィネヴィアはこみ上げてくる怒りを抑えた。

「そ、そりゃ旧王族だもの。そんな汚い食べかすを口にいっぱいつけた子とは会わないでしょうね」

トリスタンはむっとした顔をグウィネヴィアに向けた。

「おい、トリスタン。いい加減にしろ」

ボーマンがため息をついた。

「旧王族の人間だろうがなんだろうが、食べかすがついてるガキとは誰も会いたくねえよ。なあ、イグレーヌ、せめてこいつが言ったとおり、グウィネヴィアの居場所だけ教えてくれねえか?あとは、俺たちだけでなんとかする」

「居場所って言っても、グウィネヴィアは王都にはいないのよ」

「え?そうなのか?」

「ええ。一年前に、前王の住んでいた城へ移り住んだの」

ウーサー王の命令で。

「だから、ここから少し東の旧王都にグウィネヴィアは住んでいるわ」

「そうか」

ボーマンは顔を俯けて少し考え込んでいるようだった。

もちろん今、旧王都の城に行っても、グウィネヴィアとは会えない。

私がここにいるんだから!

「わかった。じゃあ明日行ってみるよ。旧王都に」

「え?」

「ありがとう。イグレーヌ。本当に助かったよ。よし、行くぞ。トリスタン」

「俺まだ飯の途中」

「いいから」

ボーマンはトリスタンを席から引き離した。

「ありがとう。飯ごちそうさま」

「まだ食べて足りないけど・・・ありがとよ」

そう言ってふたりはグウィネヴィアの横を通り過ぎた。

「ま、待って!」


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