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親友の面影
◯アロア
似ている・・・というよりも、彼が生きていたらきっとこんな姿だったはず。
アロアは目の前で雄弁を振るう少年をじっと見つめていた。
本当は泣き出したくて、問いただしたくてたまらなかった。
そんな気持ちでいたものだから少年が語った話は、アロアの耳にはほとんど入っていなかった。
「おい、貴様、聞いているのか?」
アロアは、はっと我に返る。
「え?ええ。聞いているわよ。だから、えっと、苦労したのよね?故郷を出てから、行く先々でひどい扱いを受けて」
少年はむっとした。
「だからそこからの話を今、していたのではないか」
「悪かったわ。少し考え事をしていたの。もう一回話してくれない?」
少年は舌打ちをしつつまた話を始めた。
「故郷を出た私にはどうしても守らなければならないものができた」
「守らなければならないもの?」
「これだ」
少年は、細長い荷物をアロアの前に置いた。