あの時の気持ち
「そう。それで今、反乱を今起こすべきか悩んでいたのね」
ランスロットとグウィネヴィアは街の路地裏の壁にもたれて話していた。
「俺は、アーサーが王の素質を完全に取り戻してから反乱を起こす気ではいたのだが」
「いざとなると怖くなったの?」
ランスロットはむっとした顔でグウィネヴィアを見つめたが、すぐに俯いた。
「そうかもしれない」
そんなランスロットを見てグウィネヴィアは微笑んだ。
「そりゃいざとなると怖いわよね。なんたってウーサー王の率いる軍はものすごい数だし。でも、ランスロット、忘れているんじゃない?」
ランスロットは顔を上げて、グウィネヴィアを見つめる。
「手紙、読んだわ」
「ああ、2.3か月前に、お前に渡した手紙か」
「あの時の気持ち。感じたこと。全部忘れているんじゃない?いや、あんなこと忘れるはずがないわね。押し込めてしまっているのよ。なんでここまできたのかってこと」
「なんでここまできたのか・・・か」
「一度思い出してみなよ」
そう言って微笑んだグウィネヴィアを見てランスロットは少し頬を綻ばせた。
「ところでグウィネヴィア」
「ん?」
「お前はなんで王都にいるんだ?」
「ガウェインよ」
グウィネヴィアは夜空を見上げた。
「私もガウェインに会いに来たの」
ランスロットは俯き、微笑んだ。
「そうか」
「なんだかガウェインが私たちを引き会わせてくれたような気がするわ」
「ああ」
ランスロットも顔を上げて夜空を見上げる。
「そうだな」
美しい星空がグウィネヴィアの金色の瞳に映った。
グウィネヴィアはそんな星空がとても心地よかった。