グウィネヴィアの墓参り③
「これ、あんたの財布だよな?」
グウィネヴィアは顔を上げた。
そこには、グウィネヴィアの財布を持った青い瞳の男が立っていた。
「え?」
「違うのか?」
「おい!ボーマン!」
青い瞳をした男の後ろから、少年がひとり走ってきた。
「おう、ちゃんと説得できたか?」
「ああ。なんとか。今日の飯代をちょっと分けてやったしな」
少年がちらっとグウィネヴィアを見た。
少年の瞳も青かった。
「なあ、この人大丈夫なのか?見た感じ金持ちみたいだしさ。ショックで立ち上がれねえんじゃねえの?」
少年の言葉を聞いたグウィネヴィアはむっとして立ち上がった。
「聞こえてるわよ?誰が怖くて立ち上がれないって?」
「な、なんだよ。俺たちがお前の財布取り返してやったのに」
「え?あ、ああそうだったわね」
グウィネヴィアは男から財布を受け取った。
「ありがとう。助かったわ」
グウィネヴィアはじっと男と少年の顔を見つめた。
「あなたたちこの辺の人間じゃないわね?目の色が違う。青い瞳・・・王国の西側の人?」
「ああ。そうだ。西の田舎町から来たんだ」
「そう、仕事か何かで王都に?」
「まあ、ちょっと」
「おい!」
少年が睨むようにしてじっと男を見つめた。
男はにっと少年に微笑んだ。
「ああ。わかってるよ。トリスタン」
男はグウィネヴィアに振り返った。
「じゃあ、俺たちはここで失礼するよ」
グウィネヴィアはふたりの後ろ姿を見つめながら花束をぎゅっと握り締めた。
「ま、待って!」
男と少年が振り返る。
「私の護衛をしてくれない?」
男と少年がきょとんとした顔でこちらを見ていた。