グウィネヴィアの墓参り②
さて・・・ここはどこかしら。
花屋で買った花束を持ったままグウィネヴィアは街の真ん中で立ち尽くしていた。
さっき花屋の人にちゃんと道を聞いたのに。
わからなくなってしまったわ。)
グウィネヴィアは周りをきょろきょろと見回した。
前、来た時よりも道が変わっている。
王の仕業ね。
王都の街並みを変え、王国の地形までも変えてしまう男。
自分が王になりたいがために。
グウィネヴィアはため息をついた。
アーサー、どこにいるの?
早く戻ってきてよ。
グウィネヴィアが歩き出そうとした時だった。
後ろから走ってきた少年がグウィネヴィアの右腕に勢いよくぶつかった。
「おっと」
グウィネヴィアは花束を落としかけてよろめいた。
走り去る少年の右手に身に覚えのあるものが握られていた。
まさか・・・。
グウィネヴィアはスカートのポケットに手を突っ込んだ。
やられた。
グウィネヴィアはすぐさま少年の後を追った。
「誰か捕まえて!財布を盗まれたの!」
街はまだ昼間だったため、たくさんの人が行き来していたが、誰もグウィネヴィアの叫びに反応する者はいなかった。
少年の後ろ姿はどんどん小さくなっていく。
「また、ガキどもの盗みか」
「最近は田舎の街だけじゃなくて王都でも多いからなあ」
「王都でこんな盗みが多いとはこの国も終わりだな」
息が切れて立ち止まったグウィネヴィアの耳にそんな言葉が入ってきた。
グウィネヴィアはその場に座りこんでしまった。
走ったおかげで花を何本か落としてしまったようで、花束は少し小さくなっていた。
本当に。
この国はおしまいだわ。
王都ですら子供が盗みを働くようになってしまったのだから。
グウィネヴィアは俯いた。
道の真ん中で泣き出しそうになってしまったから。