親友に似た少年②
食事を続けていた少年の手が止まった。
「アロア?」
「ああ。俺がわざわざ会いに来た奴。でも、あいつ遂に国にたてつきやがってさ、街にいられなくなったとかでどっか行っちまったんだよ」
「そいつは、貴様の友人なのか?」
「俺の親友でもあり、お前の親友でもある」
きょとんとした顔の少年にロッシュは、はははと笑った。
「悪い。悪い。間違えちまった。お前に似ている奴の親友だよ。本当はさ、あいつにどうしても伝えないといけないことがあったんだがな。いないならもうどうしようもねえから帰ることにしたんだ」
「伝えたいこと?」
ロッシュは顔から笑みを消し、俯いた。
「あいつの親父さん、もう長くねえんだ。だから、早く帰ってきてもらおうと思ってたんだが」
少年の金色の瞳がじっとこちらを見つめていることにロッシュは気が付いた。
「悪いな。関係のないお前にこんな話して。でも、お前さ本当に似てんだ。だから」
「ネロという者にか?」
ロッシュは驚いて口をぽかんと開けていた。
「な、何でその名前」
「大通りで何度もその名を言っていたではないか」
「ああ、そうか俺が言ったのか」
少年は吹き出した。
「私が貴様らの友の名など知るわけがないだろう。似ているだけだというのに。なのに貴様のその驚いた顔」
少年は腹を抱えて笑っていた。
ああ、笑った顔も似ている。
似ているだじゃねえんだ。
何もかも全部似ているんだ。
「なあ、少し頼みがあるんだが」
そう言ってロッシュは少年の金色の瞳をじっと見つめた。
「俺の村に一緒に来てくれないか?」