ロッシュの旅③
「お、おい、じいさん!俺が尋ねてるのは、ここでシスターとして働いていたアロアって女の子のことだぞ?どっかのおっさんとまちがえてんじゃねえのか?」
「ああ。そうじゃ。アロアのことじゃ」
「え?でも、アロアは普通の女の子で」
「違うよ!」
ロッシュの後ろで少年が叫んだ。
「アロア姉ちゃんは本当に強かったんだ!僕が国王軍にいじめられているところを助けてくれたんだぞ!」
「俺もだ!」
教会で祈りを捧げていた別の少年もロッシュの元へ駆け寄ってきた。
「俺も、助けてもらった」
「私も!」
「僕も!」
「俺も!」
教会のあちこちでそんな声が響き渡った。
「あの子はな、この街でひどい目にあっている子供たちを助けていたんじゃよ」
「アロアが」
ああ。そうか。
アロア、やっぱりお前はずっと後悔していたんだな。
「じいさん、今、アロアはどこにいるのか知らねえか?俺、どうしてもあいつに会わないといけねえんだ」
「残念だが、もうたぶん会えんよ」
「な、なんで?」
「ここの隣街で大きな騒動があったんじゃ。街の人間が国王軍に反乱を起こしたそうで、それを先導したのが」
「アロアなのか?」
老人は頷いた。
「しかも、王様の剣を盗んだ犯人を匿っているようでな。王命で指名手配もされておる」
「な、なんで!?」
「そもそもこの街の国王軍を全員倒したのも、その犯人を守るためだったようじゃ」
「犯人を守る?」
「なにか理由があったんじゃろな」
理由って・・・一体。