表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ALOISE(アロア)  作者: 十八谷 瑠南
119/213

ロッシュの旅②

「おはよう。あら、ひどい顔ね?」

宿屋の少女がふらつきながら廊下を歩くロッシュに声をかけた。

「え?あ、ああ。昨日ちょっと眠れなくてな」

「あなた、あの狭い部屋に泊まったお客さんでしょ?そりゃあんな部屋じゃ誰も寝れないわよ」

「おいおい、じゃあ、あの部屋売り物にするなよ」

少女はくすくすと笑ってカウンターに入っていた。

そのままロッシュも支払いをしようとカウンターに向かった。

「本当に困るわね。かれこれ3ヶ月だよ」

「ひとり旅なのかね?」

カウンターの奥からそんな話声が聞こえてきた。

「なあ、あいつら何の話をしているんだ?」

お金を受け取った宿屋の少女がため息をついた。

「あれね。本当困っているのよ。もう3ヶ月間ずっと泊まっている人がいてね。まあ代金はもらっているんだけど。なんせ小さい村のこんな小さい宿屋でしょ?住み着くんじゃないかって母さんも父さんも気味悪がってるのよ」

「ひとりで3ヶ月もねえ」

「しかもこの辺りの人間じゃないみたいで」

「え?なんで」

「だってそのお客の・・・あ、今帰ってきたわ」

チリンと鈴の音が鳴って扉が開く音が聞こえた。

ロッシュは扉の方へ振り向こうとしたが、肘がカウンターに置いていた財布にあたり、チャリンと音をたてて財布から小銭が散らばった。

「おっと。やっちまった」

ロッシュは小銭を拾おうとしゃがみこんだ。

「大丈夫?」

カウンターから少女が出てきて、散らばった小銭を集めるのを手伝ってくれた。

ロッシュは顔を上げて扉の方を見たが、例の迷惑なお客は去ったあとだった。

「あら、あなたお金持ってないんじゃなかった?それにしてはお財布ぱんぱんよ?」

少女が集めた小銭をロッシュの財布に入れ、ロッシュに差し出した。

「ああ、これな。これは、俺のための金じゃねえんだ。この先にいる俺の親友にいいもん食わせてやろうと思ってよ。そのための金なんだ」

「へえ、素敵。早く会いたいわね」

ロッシュはにやっと笑って財布を受け取った。

「ああ、もうすぐ会える」




もうすぐ会える・・・と思ってたのに。

「国王軍に反乱を起こした!?」

ロッシュの声は教会の中で響き渡った。

祈りを捧げていた数人がロッシュを睨んだ。

「あまり大きな声をだすんじゃない」

「あ、すまねえじいさん。思わず驚いちまって。でも、なんで反乱なんか。二年前きた手紙にはここで元気にやってるって」

「そりゃあ反乱を起こしたのはつい3、4ヶ月前くらいだいからねえ」

「な、なんで反乱なんか」

「さあね。ただこの街の国王軍を全員倒してしまったんじゃよ」

「こ、国王軍を全員!?」

ロッシュの声がまた教会にこだまする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ