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ALOISE(アロア)  作者: 十八谷 瑠南
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シスターの正体②

◯アロア

アロアは、息を呑んだ。

アーサーは何も答えないで、恐ろしい顔をして、シスターを見つめていたからだ。

アロアはアーサーの顔から目をそむけ、シスターに視線を向けた。

シスターどうしてここに?

イズーの元にたどり着いたシスターは剣を振りかぶって襲いかかってくる国王軍に全く動じることなく、ふわりと身をこなし、軽く国王軍の体を押した。

軽く押しただけのように見えただけだろうか、男はぶわっと体が浮き上がり吹っ飛んだ。

そんなシスターの足元にイズーは抱きついていた。

「リーダー!」

横にいたトリスタンがイズーに向かって叫んだ。

「え?」

アロアは舞台の下を見たがイズー以外に子供らしき人間はいなかった。

イズーは確かリーダーは、私とアーサーと同い年くらいって言っていた。

「トリスタン、あなたたちのリーダーどこにいるの?」

「ああ、ほら今イズーを助けた」

「イズーを助けた?」

アロアはイズーをもう一度見つめたが、イズーの側にいるのは、やはりシスターだった。

「どこにいるの?」

「あそこにいるじゃねえか」

そう言ったのはボーマンで、彼の指の指す方向にいるのはイズーと会話しているシスターだった。

「ほらあの金髪の」

「金髪?」

そう言ったのはトリスタン。

「リーダーは金髪じゃねえよ。俺と同じ黒髪だ」

「は?でもあそこにいるのは金髪のガキだろ?お前らぐらいの年の」

「リーダーは、俺より年上だし、どう見たってアロアよりも年上じゃねえか。むしろお前と同い年くらいの」

「何言ってんだ?トリスタン」

「私も」

アロアがふたりの会話を遮った。

「私も見えない」

ボーマンとトリスタンがきょとんとした顔でアロアを見つめた。

「私には少年なんて見えない」

舞台の下にいたシスターが顔を上げてこちらを見つめていた。

アロアとシスターは目が合った。

シスターはアロアに優しく微笑み、視線をアロアの横に移した。

彼女の視線の先には、アーサーがいる。

アーサーがどんな顔をしてシスターを見つめているのかアロアは見る勇気がなかった。

なぜならアロアはわかったのだ。

アーサーの殺したい人ってシスターのことだ。

いや、アーサーにとってはシスターじゃない。

シスターの足元に相変わらずイズーは抱きついている。

イズーにもシスターは別の姿で見えている。

シスターはシスターじゃない。

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