反撃⑤
アロアはその言葉の意味が理解できなかった。
問い返そうとしたが、アロアたちの登場にかたまっていた国王軍が再び動き出した。
アロアとボーマンは国王軍に応戦する。
アーサーは剣を引き抜こうとしている。
「アーサー、だめ!剣を使わないで!」
「なぜ?私は選ばれた王だぞ?」
アロアはアーサーの腕を掴む。
「その剣であなたは人を斬ることできない。そしてその理由をあなたが一番よくわかっているんじゃないの?」
アーサーは目を大きく見開き、アロアを見つめた。
「言葉通り、私が守る」
アロアは次から次へと襲いかかってくる国王軍を倒していく。
ボーマンも必死で応戦する。
「くそっ!」
「なんなんだよこの女は!」
アロアの強さを目の当たりにした何人かの国王軍はそう言って逃げ出し、少しずつだが形勢は逆転していった。
しかしその時、舞台の下から叫び声が聞こえた。
アロアは、振り返って舞台の下を見つめた。
「しまった!」
イズーを置いてきてしまった。
「イズー!」
トリスタンが叫んだ。
イズーは国王軍の男に剣を突きつけられていた。
「お前らこいつの命が惜しくば降参しろ!」
アロアが脚に力を入れ、舞台から飛ぼうとした瞬間だった。
アロアの体が飛ぶのをやめた。
ある一点に彼女は釘付けになっていたからだ。
青い瞳に白い肌、赤い唇、自分と同じシスターの服。
どうしてここに?
混乱する群衆の中を街の大通りを歩くようにすたすたと進んで行く。
パニックに陥っている人々とぶつかることなく、彼女は進んで行く。
アロアは目を大きく見開いてその光景を見つめていた。
ここにいたの?シスター?
「やっと出てきたか」
アロアの横にいつの間にかアーサーが立っていた。
「マーリン。遂に見つけた」
アロアはその言葉に驚いてアーサーを見つめた。
「アーサー、なぜ?なぜシスターの名前を知っているの?」