反撃④
◯アロア
アロアの視界に国王軍に追い詰められているアーサーたちの姿が映った。
「トリスタン」
アロアは横にいたトリスタンを抱き寄せた。
「え?」
「つかまって」
トリスタンは訳もわからず、アロアにしがみついた。
アロアは右腕でトリスタンを抱え上げて勢い良く舞台に向かって走り出した。
「跳ぶわよ。トリスタン」
「お、おい嘘だろ」
後ろから国王軍たちが追いかけてきていたが、彼らの手がアロアに届く前にアロアは高く跳び上がった。
そのままふわりと舞台に降り立ったふたりを舞台の上にいた全員が呆然と見つめた。
追い詰められている状況にも関わらずボーマンは、はははと笑った。
「お前、本当に一体何者なんだ?」
アロアはボーマンに、にっと笑い、それからアーサーを見た。
「アーサー、選定の剣は使わないで。ここで使ったらまたボーマンみたいな人が増える」
アーサーはそれでも剣の柄から手を離さない。
「そんなにその剣が使いたい?」
「私はこの剣で殺したい奴がいる」
「王だろ?」
そう言ったのはボーマン。
アーサーは何も答えない。
「違うわ」
アーサーとボーマンがアロアを見た。
「そうでしょ?アーサー?」
アーサーはぎゅっと剣を掴む手に力を込めた。
「私が倒す」
アロアの一言にアーサーは目を見開いた。
「今、目の前にいる国王軍もアーサーの殺したい奴も私が倒す。だから今はその剣使わないで?誰にも」
アーサーの金色の瞳が光った。
「貴様には無理だよ。アロア」