反撃③
◯アーサー
あいつがいる。
アーサーはパニック状態に陥った広場を見つめていた。
「マーリン」
逃げ惑う人々の中にいたひとりの老人がこちらを見つめていた。
「おい!」
アーサーはボーマンの声にはっと我に返った瞬間、老人の姿を見失った。
アーサーはため息をついた。
「何見てたんだ?」
「別に、何も。ガキどもは逃がしたのか?」
「ああ。みんな逃がした」
舞台の下では、やけくそになって襲ってくる国王軍をアロアが次々と倒していた。
「俺は、仕組まれていると思うよ」
アーサーは黙ってボーマンを見つめた。
「お前とアロアが出会ったこと。だっておかしいだろ?あんなに強いシスターと運良くお前が出会えるなんて。しかもアロアはお前にやたら甘いし」
アーサーは戦っているアロアに視線を戻した。
「ああ。そうだな」
ボーマンは驚いてアーサーを見た。
「王子、お前」
「いたぞ!捕まえろ!」
アーサーとボーマンが振り向くと、舞台裏から数人の国王軍が登ってきていた。
ボーマンは舌打ちをすると持っていた拳銃を構えた。
国王軍たちはじりじりとアーサーたちに近寄る。
アーサーも背にくくりつけていた剣の柄を握り締めた。