反撃
◯アロア
自分で決めたことに責任を持ちなさい。
アロアは何かを決断する時、いつも思い出す。
恩人のシスターの言葉を。
大丈夫、自分で決めたことは自分でどうにかできるから。
大きく息を吐き、目を開けた。
アロアはトリスタンを取り押さえていた国王軍を蹴り飛ばした。地面に押し付けられていたトリスタンは口をぽかんと開けてこちらを見ていた。
アロアたちを取り囲んでいる国王軍たちも彼と同じような顔をして見つめていたが、状況を察したのか一斉に襲い掛かってきた。
「トリスタン!そのまま頭を抱えて伏せて!」
トリスタンは声を上げる間もなく頭を抱えて地面に伏せた。
アロアは襲い掛かってくる国王軍どもを次から次へと倒していく。
国王軍は、もはやアロアの敵ではない。
アロアのひと蹴りで、ひと振りで吹っ飛んでいってしまうのだから。
さすがに尋常な強さではないと怖くなったのか15人ほど倒したところで国王軍は誰も襲い掛かってこなくなった。
アロアが国王軍を次々と倒している様子を見て驚いたのは国王軍だけではない。
黒いかたまりの大群も驚き、パニックになっていた。
「反乱だ」と口々に叫び、逃げ惑い始めたのだ。
そんなパニック状態に陥り、人々が逃げ惑う広場に男の声が響いた。
「おい!クソガキ!これを見ろ!」
アロアは声のする方を見上げた。
舞台にいた処刑人の男が少年の首に剣を突きつけていた。
「少しでも動いたらこいつを殺す」
地面に伏せていたトリスタンもその光景を見ると立ち上がり、叫んだ。
「やめろ!やめてくれ・・・悪いのは俺なんだ。だからやめてくれ」
懇願するトリスタンを見て、国王軍の男はまた、にたあと笑った。
「俺たちをなめたらどうなるか教えてやるよ」
男が少年に突きつけていた剣に力を込めたのがアロアにはわかった。
「トリスタン大丈夫よ」
トリスタンは目を見開いてアロアを見た。
「あいつらが卑怯で卑劣なことはずっと前から知ってる」
アロアはそう言うとトリスタンに微笑んだ。
その時だった。銃声が響いた。