アロアとの出会い
1人、また1人と教会に来ていた人々は家に帰っていった。
最後の1人が教会から出て行った時、少女はアーサーの元に駆け寄った。
「ここはお前の教会なのか?」
「ううん。ここは、私の恩人の教会なの」
「恩人?」
「ええ。私もあなたと同じように・・・」
少女は、じっとアーサーを見つめた。
「あなた、この辺の人間ではないわね」
「なぜわかる?」
「瞳の色が違う。この辺りの人は、瞳の色が青いの。あなたの瞳の色は金色だから」
アーサーは少女の瞳を見つめた。
確かに少女の瞳は綺麗な青い色をしていた。
「そう言えば名前を聞いてなかったわね。なんて名前なの?」
アーサーは怪訝そうな顔で少女を見た。
「貴様のような下民に名など名乗りたくない」
アーサーはそう言ってから自分が失言したことに気がついた、というよりも思い出した。
以前同じ発言で、友人を酷く怒らせ、押し倒されたことを。
「あっそう。言いたくないなら言わなくていいわ」
少女は軽くそう返した。
「貴様、私の言葉に何も思わないのか?」
少女は不思議そうな顔をしてアーサーを見つめた。
「何を?」
「だから私の」
アーサーの背筋に寒気が走り、くしゅんとくしゃみが口から飛び出した。
少女はそんなアーサー見て優しく微笑んだ。
「ここは冷えるし、家に戻ってゆっくり話しましょう?」
そう言って、ドアノブに手を掛けかけた時、少女は思い出したように言った。
「あ、私こそあなたにまだ名前を言ってなかったわね」
少女はアーサーに振り返った。
「私の名前はアロア。よろしく」