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僕の勇気と少女の名

ー風に揺られ葉が体を擽る。小鳥が鳴いている。そこに僕は倒れていた。

だが、1つ違和感を感じた。頭が浮いているような感じだ。まるで枕の上にのせているような...

いや、それよりも少し高いだろうか...?それに温かい。そして目を開き、視界が明るくなる。

「起きましたね。大丈夫ですか?」

一人の少女の声が聞こえた。視界の先には少女の顔がある。

え?え?僕今膝枕されてるの....?

「...あ、あの...?」

少女が疑問を浮かべた顔で覗きこむ。おそらく、返答しなかったため心配してくれたのだろう。

僕はゆっくりと体を起こし、

「あ、ああ...うん。大丈夫。えっと、現状が全く呑み込めないんだけど...」

「あ。はい。そうですよね。とりあえず、森から抜けましょう。森には魔物が沢山いますから、襲われると大 変ですし。」

辺りを見回すと多くの高い木がある。確かに森だ。でも、何で...?

そして、彼女を見る。顔つきは幼く、綺麗な銀色の髪を肩の近くまで下ろし、髪は結ばれていないが、誰が見ても可愛い少女と言えるだろう。身長は僕より低い。およそ150cmくらいだろうか。

というか、先程から物凄い殺気がする。狼のような動物がこちらを草影から覗いている。

まるで、隙が見えた瞬間に襲うつもりだというように。そして、彼女が振り向き質問してきた。

「あの、何も覚えてないのですか?」

「え、あ、うん。夜に高いビルから飛び降りたのは覚えているんだけど...」

「ビル?それは何ですか?というか高い所から飛び降りたんですか?危ないですよ。」

物凄く心配した顔でこちらを見る。理由がどうであれ、女の子に顔を見られると少し恥ずかしく顔を逸らす。

「でもそこから先は覚えていないんだ。それで君はなんで膝枕してくれてたの?」

彼女は何かを思い出したかのようにある物を取り出した。

「これ、お返ししますね。」

返された物は軽く、綺麗な銀色をしていた。それはどこからどうみてもナイフであった。

「危ない物でしたので、ちょっと拝借していました。あと、森を出るまで私から離れないでくださいね。」

「え?それはどういう...?」

その刹那、物凄く大きい雄叫びが森中に響く。

「来ましたか。」

少女が低い声色で呟いた。そして、森の影から人間の3倍近くの大きさの狼らしき動物が出てきた。

「えっと...なぜ膝枕をしていたか、でしたよね?それは、あなたをこの魔物達から守るためです。」

振り向き笑顔で質問に応えた。なのに、その笑顔は少し悲しそうにも見えた。

刹那、狼が少女に襲いかかる。あの大きさなら、少女一人くらいペロリと食べれるくらいの口で、だ。

自分は手の中にあるナイフを見た。

(助けなきゃ!)

その気持ちが、体を軽くし、何でも出来ると感させる。

そして、僕は狼目掛けて全力で走り、狼の首にナイフをひと突き。

狼は声にもならない悲鳴をあげ、暴れ、そして僕を突き飛ばす。一瞬、彼女の顔が見えた。

驚きを隠せない顔だ。着地は上手く出来ず、倒れこんですぐに立ち上がる。そして叫ぶ。

「早く逃げて!」

瞬間、彼女は小さい声で一言言った。

「グラビティ」

その言葉が発せられた後、狼は倒れこむ。ただ、首以外傷がないため、倒れる理由がない。

だが、その数十秒後に狼は何かに押し潰されたように死んだ。

「え?え?え?」

僕は驚きを隠せずにいた。そして、彼女が近づいて質問してくる。

「どうして私を助けようとしたのですか?」

彼女の顔は疑問、不安などの感情が読み取れるくらい暗かった。

「女の子が危ない目にあいそうな時に助けれないんじゃ、男じゃないと僕は思う。だから、助けたんだ。とい うか怪我はない?あと、さっきのは...」

「はい。怪我はありません。さっきのは...魔術です。重力の...」

「魔術?」

「はい。あの...驚くのも無理はないと思いますが聞いてください。私は、リルカといいます。」

唐突に自己紹介を始めた。魔術というものに対しての質問に応えて貰いたかったが、そんな考えは次の一言で無くなった。

「そして、私はこの世界の魔王です」

と。


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