第01話 委員長 その4
「おい。聞いたか?新しい委員長がクラス委員探し始めたらしいぜ。」
クラスではもう俺のクラス委員探しの情報がだだ漏れだった。
「マジかよ。俺絶対やんないからな。」
クラス委員は誘うのに苦労しそうな様相をていしてきた。
「なんで男なんかが委員長なんかはじめたんだよ。」
「しょうがないだろ。美奈が決めたんだから。」
探す前から俺を避けていく者が多々いる。
しかし好意的な者もいた。
「沖村君の助けになるならやろうかなー。」
「ちょっと一美。沖村君かっこいいからってクラス委員やるのは無謀だって。」
ってか俺クラスで孤立してないか?ふと切なくなる俺。
自分の思いとクラスの大半の思いは対極の立場にあった。
「あ・・あの沖村君。私で良かったらクラス委員に入れてください。」
そこにはなんか純粋そうで今時滅多に見られない黒髪パッツンの女の子がいた。
「ちょっと一美。やめなって。クラス委員なんかやったら死ぬよ。」
俺は素早く心の中で突っ込む、どんな役職だ。
「えっと君たちは・・・?」
一美とか言われてた人が自己紹介を始める。
「私は氷山一美。そして隣にいるのが三金詩織。私たちあなたのお手伝いをしようと思って・・・。困ってるでしょう?」
それを聞いた三金詩織は慌てだす。
「え??私も??ちょ・・ちょっと待ってよ。クラス委員なんて冗談じゃない。クラス委員なんてやったら命がいくつあったって足りないわよ。一美もバカな事言ってないで早く目を覚ましなさい。」
命がいくつあっても足りないっていったい・・・。
「ありがとう。でもまだ3日あるからゆっくり考えさせてもらうよ。」
俺は三金詩織のあの慌て方といい、死ぬと言う例えにしろ、委員長の仕事がどんなモノなのか知らない事が一番の問題だと気付いた。
「テンはどう思う?」
テンは具現化した姿で現われた。
「どうって、こんなけ訳分からないクラスなんか経験したことないしな。気になる事は女は話かけてくるのに男は話しかけて来ない。話したのはキューティクルだけ・・・。何はともあれ誰か捕まえて事情と委員長の仕事聞いた方がいいぜ。」
俺の頭の隅にあった疑問にテンは的確に気付き指摘した。
「だよな。それが今やる事かな。アッキーはどう思う?」
・・・。
「アッキー??」
・・・。
「寝てるのかな?いやアッキーやテンが寝てるのなんか見た事ないしなー。アッキー?」
・・・。
「テン、アッキーはどうした?」
俺が話かけて返事をしなかった事などテンもアッキーも一度も無い。
「わからない。俺はアッキーじゃないし、繋がってもないから。俺の思考を的確に理解出来るのはお前だけだ。逆を言うならアッキーの事がお前にわからないハズが無い。なぜならアッキーはお前でお前はアッキーなのだから。」
もっともだった。でも俺にはアッキーが今どうしていて、なぜ具現化されず話さないのか理解出来なかった。
「まーいいや。今は委員長になる為。自分のやる事が何か知る為にも聞き込み開始だ。」