第01話 委員長 その2
俺の中には天使と悪魔が住んでいる。
自分で認識出来るようになったのは去年の事だ。
気付いた時には目の前に醤油さしくらいの大きさの天使と悪魔がいた。
彼らは俺だけに具現化された姿が見え、言葉を喋り知能がある。
これは俺が思念で作った者だという事に気付いたのは、彼らが見えてから1週間してからだった。
なぜなら彼らは俺の知らない事は知らず、基本好きな物も一緒。
自分の過去も知っていて悩みもほぼ同じような事で悩む。
多分天使と悪魔になったのは、俺がよくある天使と悪魔と言う設定にすれば俺自身わかりやすいからだろう。
しかし俺は彼らが天使や悪魔では無く、まぎれもない自分だと悟っていた。
俺は彼らを打ち消すようにスポーツに打ち込んだり、近所のボランティアに参加したり、ひたすら勉強したり雑念や思念など思わないようにひたすら何でもした。
しかし自分が思う事は1つでは無い事に気付いた。
第一なんで天使と悪魔を消し去りたかったと言うと、自分と言うもがいくつも存在することに気付いていたからだ。
俺はそれを否定したかった。
しかし天使と悪魔は消えずに俺は観念してこいつらと生活するようになったのだ。
ジリリリリリリリリーーーー
目覚まし時計が鳴る。
「ねえ。起きて。」
女の子の声が聞こえる。
「ねえってば。朝は苦手?じゃー私と一緒に寝ましょうか。」
俺はゆっく眠たい眼を開く。
そこにはスケスケのYシャツにその下には肌色がぼんやり見えた。
顔は某有名人にクリソツで俺の好きなふわゆるパーマ。
「えへへへへ。」
俺は寝起きで思考回路が回っていない事を理由にその子を抱きしめた。
はずだったが・・・。
「だーーーーー。お前はテンかアッキーかどっちだ?」
某有名人にクリソツの彼女は姿を変え、黒い羽根の生えた天使テンになった。
「テン。お前らまた姿を変えて俺の寝起きを襲ってきやがったなー。」
テンは白いテレビなんかで見かける貴族の様な服を着て、黒い翼を広げサラサラなミディアムヘアーをなびかせ俺に言う。
「何回言ったらわかる?俺はお前の心が作り出したお前自身なのだ。故にお前が朝ムズムズする感情の時に不本意ながら俺は無意識的に姿形をお前に変えられ言いたくもないセリフを言っているのだぞ。こっちの身にもなってくれ。言わば男同士の朝の目覚めなのだよ。お前は寝ている時は自分の好きな様に夢が見れるかもしれないが、それに出演しているのは俺とアッキーとその分身なんだからな。言わばお前が想像するものは全て俺たちのおかげなんだから。」
・・・。
・・・。
「えーーーーー。普段起きてる時ならいざ知れず、夢にまでついて来てたのかよ?っていうか男同士とかいうな。・・・気持ち悪い。」
一年こいつらと暮らしてて初めて知った。
「あたりまえだ。現実ではないのだから自分の妄想だろ。それはもう一人の俺が作りだす世界なんだよ。お前が俺たちを具現化させたんだろ?それくらい解れ。」
・・・いーやーだーーーーーー。
「心で叫んでも俺には全て聞こえるぞ。」
毎朝のテンとのやりとりも終わり重い足取りで学校に出かける。
お見送り無い。
高校が変わったことによって一人暮らしをし始めたからだ。
親は留年した俺に「学校行きずらいだろうから転校手続き済ませておいた。いい機会だから一人暮らしをしてみるといい。」と言って怒りもせず送り出してくれた。
ガラゴロガラ
クラスに入る。
「な・・・な・・・なんじゃこりゃーーーーーーーーー。」