表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/27

第9話:メリケンDQNの対処法

 うっ……。何とか生き残れているな。右肩の血は固まっていて、腹の方は派手に動けば傷口が腫れて再び血が溢れ出す可能性があるから無闇に動く事は極力避けた方が良さそうだ。

「このまま、じっとしている事が正しい決断だが奴が此処の場所を襲い掛かった時にはあえなく死亡だな」       

 奴が此処を嗅ぎ付けなければ、上手い事体力温存を図れる。だが、嗅ぎ付けて来たら体力が無い状態では対処出来ずに血まみれの死体の出来上がりだろうな。

「何か無いか」   

 血という名のヘモグロビンを大量に身体から出したためにふらふらと立ち上がる俺はこの小屋から何か良いものは無いかと物質していく……すると、ボロ臭い棚に置いてあるバケツから煙幕と書かれてある玉を二個と折りたたみ式のひげ剃りに使う小型ナイフが良い感じに置かれていた。

 どちらも重宝するので、かなり使えると言っても過言では無いだろう。

「あとは、無さそうだな。しばらくは寝ながら待機をしておくか」

 物色を終えた俺は特にやる事が起きなかったので半分眠りながら警戒をしていく事にした。本当はガッツリと就寝したい所ではあるが、さっきのメリケンDQNが来るかもしれないという点があって、じっくりと眠る事は叶わなかった。

 そして幾分か時が過ぎた頃に獣の鳴き声が鳴り響いた。この痛々しいような鳴き声は……どうやら誰かに食料として捕らえる為に殺されてしまったらしい。

 まぁ、どの世界でも食物連鎖やら弱肉強食などは有り得るので胸は全く痛まないが。

 だが、この鳴き声からの位置は俺から数mぐらいだという事は感づいていたので、このまま寝ころんでいたらマズい状況に陥るだろうから俺は警戒を強める。

 妙な鼓動の高鳴りと共に警戒をしていくと、小屋のドアの先から草を踏んだ足音が小刻みに鳴っていた。俺はひっそりと窓から様子を恐る恐る見ていくと、あの来て欲しくないメリケンDQNだという事が判明した。    

「まだ、腹の調子が悪いのに……」   

 アイツは空気が読めないのか?全国空気読めない選手権で準優勝するぜ。間違い無く!

 俺の熱い皮肉を言っても、メリケンDQNの足音は次第に近付いてきた。何かこちらに向かっているみたいだけど      

「ちょっと、先輩!どこに居るんですか?周りの遮蔽物に隠れていないで、出て来て下さいよ!」  

 アホが!誰が出てくるか!真面目に聞いていたら、ただの馬鹿としか言いようが無いぜ。だが、この場で固まっていても殺されるのがオチだ。だから何とかして切り抜けたい所だが、俺のコンディションはメリケンDQNの一撃であまり良くない。

 武器はそれなりに揃っているから上手くやれば叩きのめす事は可能だが、動きすぎれば大量の血が溢れ出すと同時にその場で倒れてしまう危険性が非常に高い。

 だから今回は逃げる方に力を注ぐべきだろうな……幸い煙幕などの待避用の道具があるから、目くらましには使える筈だ。

 俺はリュックサックから折りたたみ式のナイフを右手に構えて

、リュックサックの左ポケットに煙幕の玉を予めセットしておく

。そしてトドメに手榴弾を俺の左手に持たせておく。相手は接近がお得意みたいだし、直ぐに距離を離して放り投げれば上手くいく筈だ……と信じたい。    

「出なければ、こちらから仕掛けますよ!」        

 メリケンDQNは大声で叫んだ後にこの小屋に目掛けて、扉を足でダイレクトにぶち破った。俺はメリケンDQNが叫ぶと同時に小屋の窓をぶち破って脱出したので、上手い事逃げ出す事に成功した。

「やれやれ、そっちの方から脱――!」 

 強烈な爆発音だったが、今度こそ消えてくれよ。手榴弾の数はそろそろストックが切れそうなんだから。ここらで死んでくれや。

「さっきのは危なかったですよ!」   

 背後に迫る圧に俺は直ぐに振り向いて、折りたたみ式のナイフで弾いて距離を取る。やっぱりそう簡単に逝ってはくれないようだ。

「いやぁ、先輩。さっきの手榴弾はもう二回目ですよね?さすがに飽きましたよ。もうちょっと、予想していない時に放り投げて貰わないと……じゃないと誰でも避けてしまいますよ?」

 コイツ、アドバイスしているつもりか?何か無性に腹が立つんだが。    

「ちっ!次からはもっと上手くぶっ殺せるように手榴弾を投げつけてやるよ」          


「そりゃあ、良かった。じゃあ、話ばっかりでは飽きるんで本気の殺し合いをさせて貰います……よ!」       

 メリケンDQNはメリケンサックを両手に交互にリズム良く叩き込んできた。俺はそのメリケンサックの打撃を折りたたみ式のナイフで無理矢理に頑張って弾いていくが、メリケンDQNの方が攻撃がスピードが倍以上に早かったので俺は防戦に徹する事しか出来ないという、何とも歯痒い状況が続く。

 この悪い流れ……早く変えないと、やられるのは目に見えるな。さっさと打開しないと。   

「ほらほら!どうしたんですか!防御ばっかりで反撃しないのは余りにもつまらないですよ!」   

 つまらないとか言いながら、反撃する隙間も無い攻撃を入れてくんなよ!  

「もうちょっと、手を緩めてくれると助かるぜ!メリケンDQN!」

              

「先輩。俺には仁藤大輝と言う名前があるんでメリケンDQNとか言うの止めて下さいよ!」    

 メリケンサックを交互に容赦なく叩き込む仁藤とか言うメリケンDQNは更に足を使った体術で攻撃を続けた。どうも、俺に反撃する隙を作らせないつもりらしい。

 俺としては隙が出来た所で煙幕をぶち投げて、さっさととんずらをしたい所なんだが……物事は上手いように起きないもんだな。  

「メリケンDQN!てめぇはもう少し、年配者を敬った方が今後の為になるぜ!」         

 腹の血がまた溢れ出すかもしれないが仕方ない。今日ここでこのメリケンDQNはぶち殺しておく!

 そうした方が今後の為にもなるしな!勇気ある決断をした俺は交互にメリケンサックが来て、ちょうど右のメリケンサックが俺の腹に来る所で左手で捕まえてから折りたたみ式のナイフで仁藤の顔面を一直線に横払いしてから、仁藤が慌てふためいた所で左手の腕を右手の肘で強く叩いて放り投げる。

 すると仁藤は痛かったのかかなり苦い表情を浮かべていた。

「ぐっ!何故だ!俺の攻撃には隙が無かった筈なのに!」  

 出たよ。自分には何も悪い点は無かったです系。こういう奴は言わなければ永久に気付かないんだよな。まぁ、俺はてめぇの敵だから一生教えるつもりはサラサラ無いがな。

 どうせ天国で安らかに眠ってもらうし。俺は折りたたみ式のナイフを力強く握ると仁藤はまだ倒れるつもりは無いのか、ベラベラと喋り始める。       

「最後の試合……楽しませて貰いましたよ。機会があれば、天国か地獄で正々堂々とやり合いましょう」

                

「あぁ」              


「それでは……あなたも一緒に!」   

 仁藤は後ろに隠していた小型ナイフで俺を道連れにしていきたかったんだろうな。だが、それはノーセンキューだ。天国もしくは地獄はお前だけ逝ってろ。 

「あ……はぁ」   

 仁藤がナイフを繰り出す寸前に俺が折りたたみ式のナイフで首をぶっ刺して楽に殺したので、何事も無く無事に生き延び事が出来た。ふぅ、危なかったな。

 俺が疑り深い性格だったから良かったが……他の奴等だったらどうなっていたのやら?少なくとも桐山は油断する事無くあっさりと殺してしまっているだろうが。

 さて、ようやく戦闘終了だ。今から最初に仁藤が居た焚き火の場所に戻るとしよう。何かカバンらしき物があったような気がするからさ。俺は腹を押さえながら、仁藤が最初に居た焚き火の所へ何となく道を辿っていくと思った通りカバンを発見した。

 きっと何か役立ちそうな物が入っている筈だ!……と信じたい。

「どれどれ」    

 カバンを漁っていくと何やら栄養補助食品らしき物が紛れ込んでいた。この世界には栄養補助食品もあるのか?

 ますます良くわからない世界だな。どうもこのお菓子は日本に良く似ているし、もしかしたら異世界では無い世界かもしれないな。まぁ、食べ物は幾らあっても困らないから有り難く頂くけど。 

「あとは」     

 木とかにぶら下がるフック付きのロープか。こんな物……何に使えば良いんだ?回避用いや飛び移る時とかに使うと効力を発揮すんのかな。それ以外は特にこれといった道具は無さそうだな。

 もう少し役に立ちそうな物が入っていたら万々歳だった訳だが。俺はぐちゃぐちゃに物色して用が無くなったリュックサックを草むらに放り投げて、別の地へと赴くことにした。

 とはいっても体力的にまだまだ絶好調という訳では無いから、なりに潜める場所で籠もるしか無さそうだが。

「よし、行くか」  

 今は敵と出会わずに、身体を休めていく方向に持っていく事が何よりの最善の判断だ……俺は仁藤から奪った道具を自分のリュックサックに入れ込んで若干ふらつく身体を立ち上げてから、適当に歩み出した。仁藤が死んでくれたお陰で俺を含めると……8人。

 まだまだ、自由と幸福への道のりは厳しいが、必ず勝ってみせる。何故なら俺はあちらの世界では殺人鬼として指名手配された奴だからな!名前負けをするつもりは無い。   

※※※※      

 暗闇の洞窟で焚き火をしている男は、ある人物の帰りを待っていた。そして、ある人物が帰ってくる間に狂犬の丸焼きを無表情で調理していくと足音と共に獲物を引き連れて帰ってくる人物がこちらに来た。     

「遅かったな」                


「悪いね、ライド兄さん!川辺の方で沢山穫れたから思わずやってたら、こんな時間になってしまったよ!」

            

「あまり長く外に出るなよ。敵と出くわしたら面倒臭いからな」

 真っ白の透明な髪の色を施し、目が若干弛んでいるブレイクはとれたての川辺の獲物をライドと呼ばれている兄の付近に獲物をドッサリと置いて、休息をし始める。

「でも、さすがに疲れたわ。身体を動かすのは得意じゃないのかな?」             


「獲物を捕らえるのはお前の方が一枚上手だからな。俺は調理とか戦闘の方が向いているから、そういう所は羨ましいぜ」

                 

「よしてくれよ。それより、これが終わったらどうする?メールから見たら残りは8人らしいけど」         


「このゲームで二人も脱落したみたいだし、ここら辺りで仕掛けていくか」   

 次第に挑戦者が減っていく状況に今が好機と捉えたライドはブレイクにゲームの中に入るぞと誘うと、嫌な表情を浮かべる事無く直ぐに同意した。    

「これを食べたら、すぐに出るからそのつもりで掛かれよ」

                

「任せてくれ!いよいよ俺達の出番だな!頼むから、強敵来てくれよ」             


「ふっ、そうだな」 

 和気あいあいと談笑をした後に、火の始末を軽く始末してから洞窟の外に飛び出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ