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第8話:開かずの金庫にヒントを求めて

 開かねえぞ!どうなってやがるんだ!鎌倉幕府なんだからどう考えても普通に1192で当たっているだろうが!それなのになんで!

「駄目だ。わからねえ」        

 あぁ、なんだよ……おい。このイライラ感とモヤモヤ感。このままでは開けるまで帰れないぞ!おい!金庫!お前は何でそんなに頑なに開けたがらないんだ!

「冷静に落ち着いて考えるか」         

 1192で開かない以上、ここでゴマをすろうがぐちゃぐちゃと独り言をこぼそうが開かないの決定的な事実だ。だからこそ、今するべき事はこの館からヒントを探してその答えと共に鍵穴を開けてやる事が優良な判断と言えるだろう。 

「また、この部屋から離れるのか。くそっ!あともう少しで扉は開かれると言うのに!」      

 それまではもう少し堅く閉ざしていろよ。絶対に誰かに開けられるなよ!俺は金庫に謎の祈りを捧げてから古臭い扉をまた開いて、ヒントを探す旅に出た。

 とはいえ、館自身はそれ程の広さは無いので後は適当に扉をバタバタと開けながら警戒していく感じで進めていくだけだが。色々と部屋を荒らして探していく内に扉が幾つもある一階の奥の扉を開けると図書が沢山棚に陳列している部屋を発見するに成功した。こりゃあ、ヒントが見つかもな。    

「窓から少々の光が差していて良かったぜ。無ければ全く見えない所だった……おっ!」      

 窓の方に行って、ちょっと景色を眺めてたら、後ろの書斎の机の上に懐中電灯が置かれてんじゃねえか。しかも電源付きだし、かなり好調だな!      

「よし!これで鎌倉に関する歴史の本を探してみるとするか」

 俺は黒色の現代で使われているような懐中電灯を右手でかざしながら、棚に埋められている本を探していく。

 文系とか全く好きではない俺は並べられた本に辟易とするが、調べていくとニュートンの力に関する事や宇宙力学の事や銀河に関する事など、専門職の強い本ばかりで自分の頭の悪さに吐きそうになる。

 こんな本ばかり並べやがって……俺ならラノベを棚に埋め込んでいる所だ。     

「はぁ、この部屋はかなり疲れるな。いい加減に鎌倉とかの歴史の本は無いのか~」        

 しかも、妙にホコリと塵が辺りから充満しているし……もうちょっと、掃除しろよな。殺し合いのゲームだからそんな事をする意味が無いかもしれねぇが、俺はホコリとかあんまり強くないから嫌なんだよ。     

「とか愚痴愚痴言っていたら、当たりの本を見つけたな」

 170cmでぎりぎりと届きそうな位置にある本を俺は掴み取って、タイトルを見てると……そこには「鎌倉幕府について」という何とも普通で尖っていないストレートなタイトルが目の前にあった。

 俺はパラパラとどうでも良さそうなページを飛ばして、金庫の手掛かりに繋がる内容を懐中電灯を片手で持ちながら捲り上げていくと、ある所で気になる内容を発見した。

 なになに、1192年は今日でも歴史の教科書に掲載されている鎌倉幕府設立の年として定められているが最近の歴史家によるとその情報は誤った可能性がある……だと!?      

「じゃあ、今までガキだった俺が学んでいた鎌倉幕府の設立年はハッタリって言いたいのかよ!ふざけやがって!」   

 しかも最近の調査では1185年の方が有力……マジかよ。どうやら何故1185年に有力説が当てられたのかはこの本にきちんと説明されているらしいな。

 平家と最後まで戦った源義経とか言う格好良い武士。そいつは鎌倉幕府初代将軍の頼朝の異母弟に当たる関係……平家という名の共通の敵がいた間は互いに利害関係が一致した仲だったが、歴史が疎い俺でも何となく知ってる壇ノ浦の戦いで頼朝の撤退命令を無視した義経は結果的に頼朝を怒らせて、内紛状態が始動する。

 こうした内紛で頼朝は義経をぶっ殺す為に諸国を探索するという事を理由にして1185年に、諸国とかに守護・地頭を設置する権限と良く分からん物を後白河天皇に認めさせた。

 だからその時には既に鎌倉幕府が設立されていた可能性が極めて高いと言いたいのか。やれやれ、歴史という物は掘れば掘るほど深いもんだな。     

「良い国ならね良い箱か。覚えておくとするか」    

 さて、コイツのおかげで新情報は入ったからサッサとブツを拝ませてもらいますか。俺はさっき読んだ歴史の本を床に置いといて、そそくさと部屋を出てもう一度あの金庫がある部屋へと舞い戻った。どうやら、金庫はまだキズ一つ付いていないようだ。

 誰も来なくて助かったぜ……正直言うと右肩の血の出血はだいぶ収まったが、結構痛めつけられたから身体に響いていたから来られたら非常に迷惑だった。    

「宝物を見せてもらうぜ」       

 俺は懐中電灯を左手に差し替えて、利き手である右手を使って4つのダイヤルを合わせていく。

 初めは1、その次に1、そして9にトドメは……2だ。

 慎重にダイヤルを合わせて揃えるとカチャリと非常に俺の耳に良い音が鳴った。これで、宝は拝める訳だ。ラッキー!    

「肝心の中身は何かな?」       

 頼むから役立つパーツをカモン!そう願ってから金庫の扉を開けると、結果通りに優れた物が入っていた。まずは拳銃の一部のパーツと思われるスプリングガイド+スプリングプラグ+複座バネと呼ばれる一つに繋がった重要なパーツ……これが無いと銃としての基礎が成り立たない。次に銃の本体と思われるフレームが出てきてくれた。これはかなり重要な物だったからあってくれてありがとうだな。

 そして次にバレル……この金庫に拳銃に使われるパーツが沢山入っているから面倒ではあったが、地下に潜って正解だったな。あとはこの世界の地図みたいだな。巻物サイズでリュックサックの中に入るから、場所関係で困ったら何かに役立つかもな。おっと!隅っこの方に手榴弾が3個もあるじゃねえか。コイツも頂きだ!  

「ふぅ~大量に手に入れたぜ!もうこんだけ手に入れたから、この館に居る意味は無いな。またあの男がこっちに来たら、面倒事が起きるからさっさと逃げるか」         

 まぁ、あんな爆撃でピンピンしている筈が無いと思うけど!あはははっ!……とか声を大にして言ったら、復活しそうだから黙るとするか。俺は金庫の中にあった大量の物をリュックサックの中に入れ込んで、この館を退出した。

 館の外に出ると辺りの景色は真夜中に差し当たっていのたか、何か気持ち悪い生物が遠吠えする真夜中になっていた。もう一度館に入って……いや、止めとこう。どこか安全な場所に待避して、身体を休める方が最良の判断だ。 

「だが、こんな化け物が多い所に避難出来る場所はあるのかな」

 あまりに身体が疲れていた俺はどこか安全な場所でさっさと寝たかったので、目を擦りながら辺りを適当にぶらついていると、焦げた臭いが鼻についた。

 もしかしてこの火の独特な臭いは……誰か焚き火してんのか?だとしたら結構好都合じゃねえか。   

「早くも三人目の挑戦者か。こりゃあ後ろからやれば、楽に殺せるぜ」     

 俺は息を殺して、草むらの中に忍び込んで焚き火をしている人間を観察する。どうやら黄色の目立ったシャツを着た橙色の今流行っているのかは良く分からんがDQNな感じの顔付きをしている。

 だが、こういう場所で辺りの警戒をしないのは……甘ちゃんの証拠だ。     

(へっ!悪いが自由と幸福の為に楽に消えてくれよ。DQN!)

 俺は予め出しておいた木の棒を手にしっかりと握って、草むらの背後から一撃で襲い掛かった。DQNの男は俺の容姿に驚き、直ぐにヒラリと避けて自身の武器と思われるメリケンサックを両手に構えた。多分、というか……あれを直に喰らったらかなりの痛手を負うことになりかねえ無いから、何とか避けないと死ぬのは確実だな。

「背後から襲うのは関心しないな。俺は正々堂々と殺し合いをしたかったから、あんたには心底がっかりしたぜ!」   

 殺し合いに正々堂々だ?青臭いガキが……舐めやがって 

「黙れよ、DQN。ここは殺し合いの世界なんだ。正々堂々とかそんな甘ったれなゲームじゃないんだよ!」

              

「あんた……カリカリしすぎだな。俺があんたのカリカリした頭をこのメリケンサックで冷やしてやるよ」

               

「悪いが、流血沙汰はお断りだ!」      

 俺が木の棒を振り上げるとDQNは見破っていたのか、すんなりと避けてから右手のメリケンサックで木の棒を空中に固定したまま左手のメリケンで腹を殴りかかった。

 おかげで俺の腹から血が吹き出してきやがった。最高に痛い……

「えーと、あんたの強さはこんな物なの?何か見た目とは裏腹に手応えが無さすぎ何だけど」    

 余裕の表情かよ。ふざけんな……だが、この溢れ出してくる血の量は明らかにマズい。早く逃げるべきだな。    

「おっと、退散かい。自分から喧嘩を仕掛けておいて、そりゃあ無いよ」    

 DQNは俺の行動を無駄に察して、メリケンサックをしっかり構えてから一斉に突撃を掛けた。意識が朦朧としている中で俺はリュックサックから右下のサイドの手榴弾のピンを外して投げつけると、DQNはすぐに俺から離れて待避行動を取った。

 強烈な爆発と共に吹き飛ばされた俺はヨタヨタと意識が朦朧とした中で落ち着ける場所を探してさ迷うと小さな小屋らしき物が見えた。何でも良い……とにかく体力を温存いや緊急措置が出来る医療系の物があれば。      

「ぐっ!医療箱はコイツか」      

 白い何かの巻物みたいだな。コイツを使えば、多少の出血は抑えられるだろう。白い巻物を腹にグルグルと巻いた同時に俺の意識はとうとう無くなってしまった。

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