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第6話:進む道に罠あり

 さっきから後ろの方で殺気が立っているような……   

「いや、やっぱり気のせいか」     

 まさか背後から襲うつもりなら、もうここでやる筈だ。やらないとしても機会を伺っている可能性が高い。

「まぁ、いいや。それよりも面白そうな場所を発見したから、ここを入念に探索するぜ!」     

 トコトコと霧が掛かった道を真っ直ぐに進んでいくと正面に非常に古めかしい館がそびえ立っている。俺はその建物を見上げてから恐る恐る館の扉を開けると嫌な音と共に入り口が開かれた。

「うわぁ、この音は小学生に聞いた黒板の引っ掻いた音並みにキツいな」    

 しかも明かりすら無いから全く部屋の全方位を安全に進めないのが更に腹立つな。今使えそうな持ち物は中身がスカスカのマッチ箱だけだし、ここは慎重に進んでいくのが良いな。

「早く、マッチと願わくば懐中電灯があると凄く助かるんだが。後はオマケで拳銃の一部分とか」  

 願望が多すぎるか?けど、こんなに使えそうな物が少ないんだから希望を見つけたいんだよ!とか息巻いて一階の部屋を入念に進めていくと押しても引いても開かないドアと巡り会った。

 俺はどうにかこうにか開ける為に再び引いたり押したり横に動かそうと目論むがやはり扉が開かれる事は願わなかった。何かトンチを聞かせないと先に進めない可能性があるかもな。    

「タックルでぶち壊すか!」       

 一歩ずつ壁まで後退してから、助走を付けながら一思いにタックルを喰らわせても、扉が前に倒れる事は無かった。こいつ……何か血が上りそうだ。    

「なら、この折れたバールで一部分をくり抜いて内から開けてやるよぉ!」   

 リュックサックに飛び出した折れたバールを手に取って、押しても引いても開かないドアノブの上の部分を自身の持つ力でぶち抜いて中から無理矢理に開かせて警戒しながら入室すると、そこには壁の方に置かれた古くて良くわからない書物とホコリだらけの木製の机に不似合いのボックス型でダイヤル式の金庫があったので、俺はダメ元で無理矢理にぶち壊してみる。    

「そりゃあ!うりゃあ!はぁ……はぁはぁ、クソ!駄目だ!堅すぎる!」    

 まぁ、もしこの力任せの攻撃で開いてしまったら金庫の意味が無くなるんだけどな。とりあえず金庫を開けたくて色々試しながらも途方に暮れた俺はヒントらしき物を探すために部屋の中を物質する。

「これは……違うな。これも違うな。クソがぁ、何もヒント置いてないとか有り得ないだろうがぁぁ!」   

 もう最悪このまま放置しても良いかもしれないが、もし中に優れた武器が入っていたら俺の負ける確率が格段に上がるのがオチだ。しかも拳銃のパーツが入っていたらもっと敗北率は上がるだろう。だから、俺はこの堅すぎる金庫を何としてでもこじ開けたい!

「そういえば机を見ていなかったような気がする。かなり汚いけど、ヒントが入っている可能性があるから一回調べておくか」

 木製のホコリにまみれた机を適当に使われていない書物を雑巾代わりに地面に落としてから、引き出しなどを調べると何やら気になる紙が入っていた。

 俺は気になって、すぐに開けるとこの金庫を開けられる条件の詳細が書かれていた。内容はこの奥深くに眠りし最果てを知れば道は開かれんと言うRPGの影響を受けたと言わんばかりの内容が記されてあった。       

「普通ならゲーム脳乙と言いたい所がこんな殺し合いの世界なんだから、もしかしたら役に立つ道具が置かれている可能性はあるかもしれないから、先取りされない内に調べてみるかね」 

 スマホを警官に奪われていた俺は先程のメモをすぐに取り出せるように、リュックサックのサイドポケットに入れてからこの部屋を一時退散して、地下が繋がっている部屋が無いか一階の部屋を入念に調べていくが、スイッチみたいなゲームにはわかりやすい物として設置されていないので進展は酷く滞っていた。  

「んだよ。こういうのは大体意味不明な絵の裏とか一つだけ飛び出てる本棚とかユーザーにわかりやすい物を置くのが常識だろ!ふざけやがって!」      

 もしかしたらテラーが仕組んだ可能性はあるかもしれないから今度会った時には問い詰めてやった方が良いのかもな。

「もう一回あの部屋に戻ってみるか。もしかしたら何か見逃しているとか、ケアレスミス的な事もあるかもしれないし」   

 一度冷静に対処する為に俺は再びメモが置いてあった隅の部屋に戻って、三段に並んだ全ての本をバラバラに地面に落として入念に調べてみると一つだけ後ろの方にブレーカーのようなスイッチが垣間見えたので俺の心はワクワクしてきた。

「よっしゃ!スイッチON!」     

 本棚の二段目の壁に取り付けられているブレーカーのようなスイッチをONにして待っていると、ゴゴゴゴゴッと言う良くある昔のゲームソフトの地響きがしばらく鳴ってから徐々に収まりを見せた。

「ようやく地下の扉が開かれたな。さっさと地下を潜り込んで、お宝を貰っていくぜ」       

 でも、今のは結構地味に大きな音が鳴ったから敵が地下に全員集合!的なはた迷惑な展開は御免被るぜ。とテンション高めだがいい加減に行くとするか。  

「さっきの大きい音は玄関の方だったな」        

 部屋を開けて玄関の方へと足を進めていくと、思った通りに玄関のちょっと奥の方に人が通れる位の通り道が開かれたな。先はかなり暗そうには見えるが大丈夫だろうか?先に進んで全く見えない!とかだったらシャレにならねえぞ。  

「だが、こうして居る間にもたついていたら敵が押し寄せて来る可能性を考慮して俺はさっさと先に進むぜ!」    

 とにかく敵が来る前に潜入しようと考えた俺は考えているようで考えていない感じで潜入して先へと進んでいくと地下の廊下壁側に明かりが少々灯っていたので取り越し苦労で済んだのは非常に助かった。

「けど、何にも見当たらねえな。本当に奥に進んだら、お宝が見える気配が一向にしないんだが」  

 何にも無い道に愚痴愚痴と文句を呟いていたらY字の道に差し掛かったんだが……どっちの方に歩むべきなのか?  

「メモには奥までただひたすらに進め的な事しか書かれていなかったから、一体どっちの方に進めば良いのやら」    

 ヒントのメモに書かれていない以上、どうしようも無いので俺はいろはにほへとごっこで左・右に交互に動かして最終的に左に決めて、左の方へと足を進めて行くと奥の方に古墳のような形を宿した人間が入るようなサイズが視界に映った。     

「あれに金庫のロッカーのヒントが入っているのか?まぁ、開けてみるか」   

 覚悟を決めて一歩ずつ着実に足を進めると、古墳の形をした墓は勝手に開き始めたので俺は咄嗟に後ろに下がって逃げようと振り向くが、逃げようと思った先には先程は無かった檻があったので俺は罠に嵌められた事に気付いた。    

「あぁ……やっちまった」      

 しかも、何か人間ようなヤバい奴が出て来たし、日本語とは思えない変な言葉を吐き出しいるし本格的におかしいぞ。

「おではをころぉぉ!」        

 ゾンビのような気持ち悪い動きをしている男性は一通り喋った後に古墳の中に置いてあった片手剣を握り締めから、素早い動きで斬り掛かってきた事に俺はおぞましさを感じた。

 こんな気持ち悪い奴が激ヤバ動きをしていやがる!後ろには檻の罠があるから逃げるのは不可能に近い……なら一思いに殺すしか無いよな!

「悪いが!俺は金庫の中身を頂く為にあんたをぶち殺す!悪く思わないでくれよ……ゾンビィィィ!」         

 俺は安全な距離を取ってから、地下に進む前に右手構えておいた中華包丁をゾンビの顔面に狙って全力で立ち向かう。

「おらぁぁ!楽に死ねや!ゾンビィィ!」

                 

「えぐぼぼ、がぁぁ!」

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