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権能管理

俺は元創造神ということも面倒なのでそのまま伝えてアイシャの反応を見たがどうも実感がわかないらしい。しょうがない、とっておきをみせて俺を尊敬させてやろう。もっとも今はレベルが2と低いので使える魔法の規模が低いのでたかが知れているのだが。

創造の魔法、俺にしかできない奇跡は弓と剣を無から生み出した。


「す、凄い…これがさっき言ってた創造の魔法」

「流石にこれで信じてくれたろ」

「それはいいけど、これは?」

「弓はアイシャの武器、剣は俺の武器だな。ただで手に入るものを金出して買うのもあほらしい」


俺の返事に若干呆れを見せながらもアイシャは嬉しそうだ。俺の剣はその辺に売ってるレベルだがアイシャのは中々の性能があるし頑張った甲斐があるというものだ。


名称 アーティア

等級 B

売値 300000

買値 400000

<詳細>

作成者:レン

アイシャのために作られた十分な攻撃力と飛距離を持っている魔弓。折りたためるので持ち運びに便利。

<付与>

【必中】

目視できる範囲で狙った対象に必ず命中する。

【魔力矢】

魔力を矢にできる。


「ありがとご主人様、それで試したいことっていうのは?」

「ああ、これからアイシャのステータスに干渉する。いいか?」


これは正直了承してもらえるか不安である。人にステータスをいじられるのはどんな影響が出るかと生理的な不安が生まれるからだ。仮に拒否されたとしても命令を使えばいいんだがそれだと仲良くなるのが遅くなりそうだ。個人的にこういう性格には好感が持てる。


「そんなに不安そうにしなくてもいいよ、私はあなたの奴隷なんだから」


俺は彼女に【権能管理】を行使する。これは誰でもできるステータス変更の上位互換でスキルポイントを使って本来できないステータスの変更を行える。これは変更できないと言われるセンスや先天的なスキルすらも書き換えることが可能なのだ。ちなみにスキルの削除も可能で消した場合はスキルポイントの半分が返ってくる。

もっともセンスの上昇はスキルが取れなくなってしまうので今回はそのままだ。表示されたメニューからスキル習得を選択すると【汎用スキル】【ユニークスキル】【ギフトスキル】【勇者専用】【魔物専用】【その他】が表示された。なんだろうかこのいけないものを見てしまったような感覚は。

とりあえずスキルを一通りみていくと【勇者専用】の中に面白いものを見つけたのでそれを習得させることにした。


名前 アイシャ・ルウ・アーカディア

種族 エルフ

性別 女

年齢 17

レベル 4

<センス>

生命 D

魔力 S

知力 L

筋力 E

精神 C

器用 L

敏捷 S

幸運 F

<スキル>

【奇跡の巫女】【家事の天賦】【弓の天賦】【精霊神の加護】

【獲得SP増加】

レベルアップで得られるスキルポイントが倍化する。勇者専用。隠蔽。

【必要SP減少】

スキル習得時に使われるスキルポイントが半減する。勇者専用。隠蔽。

【成長率増加】

レベルアップ時に上がる能力が増える。勇者専用。隠蔽。

<魔法適正>

水,土,風,光,精霊



【勇者専用】のスキルは全て隠蔽と書かれていた、つまり他人からはこのスキルを見ることができない。【異世界言語】【無限収納】【万能鑑定】なんてのもあったが俺が上位互換を使える以上、必要性を感じられなかったのでスルーである。

どうも勇者という存在は贔屓されるようなので、俺も自分のお気に入りを贔屓するのである。神やめたのに神っぽいことしてるのはご愛敬だ。


「あれ……ステータスが全然違う」

「いや、センスは操作してないぞ。偽装がかかってただけだ」


本人すら見えないスキルを使える犯人なんておおよそ察しがつくが今は置いておこう。見られて困るスキルもないしアイシャのステータスは隠さないことにした、これなら才能があるだけの普通の女の子だろう。


「ねえご主人様、なんか勇者専用って書いてあるんだけど」

「特別感あるだろ、いまいち勇者ってのはどういうものかわからないけど優秀で習得にもポイントかからなかったから付けといた」

「特別とかどうでもいいの!勇者の能力が高い秘密を見てなんだか複雑な気分ね……ズルしてるみたいだし。それと勇者については異世界から召喚されるらしいけどよくは知らないわ」


だから【異世界言語】なんて謎スキルがあったのか。この世界に送られても即対応できるようにってことだろう。どういう理由で送るのかすらわからないが関係ないことだ。


「俺は何を思ってそんなシステムを考えたのか…俺にはさっぱりわからんな。記憶なんてそのままで旅すればよかったのに」


せめて消す記憶くらい選んで欲しかった。まあある意味俺が俺としていられるのも記憶がないからなのだが。


「……私はあなたに会えてよかったと思ってるわ。その、どっかの貴族の変態に売られるよりはマシって意味でね」


何となくそんな言葉が暖かく感じる。今日生まれたばかりの俺はその言葉に救われたのかもしれない。神様がどうとか結構痛々しいことを言っていた俺を慰めてくれるとはどちらが神様かわからないな。

気分もよくなったことだし、俺なりに真面目な事もして疲れてたから今日はもう寝るとしよう。


「さて、寝るか……。アイシャー」

「なんでご主人様自然に同じベッドに呼んでるの!?」

「何想像してるか知らんがさっきも言ったように今日はエロいことなんてしないぞ」

「……そのうちやらせる気なんだ」


勘違いしているようだが別に嫌なら拒否してくれてもいいんだぞ、命令という形式は取ってないわけだしな。ただその場合は床で寝てもらう、仮にも主人なのに譲るなんてばかばかしい。来いと言ったときは嫌そうではなく恥ずかしだったのでそのうちおいしく頂こう、やはり元の俺は相当好色家らしいな。


『いえ、ここまで手が早いことはなかったのですが』


余計な突っ込みがあったが俺には何も聞こえない。おずおずとやってきた顔真っ赤なアイシャと一緒に布団に潜り、魔力枯渇のせいか急激に来た眠気にそのまま身を委ねた。




どうやら私のご主人様は神様らしい、冗談かなと一瞬思ったが恐らく本当なんだろう。私の困惑をどうとったのか私が見たことのない魔法を無詠唱で使い、無から有を生み出した時はやりすぎだと怒鳴ってやろうかと思った。

ちょっとした好奇心で結界の外に出た私は直後エルフ狩りに捕まった。本来こういう方法での奴隷は違法でどこかの変態貴族に売り飛ばされると思っていた。実際に売られた相手も変態だったが見た目もまあその好みだし優しいところもあるし……。

そもそもさっきの誘い文句のような言葉で嫌悪ではなく羞恥が来たのはどうなのだろう、もし私の想像通りなら我ながらチョロイなんてものではない。逃げられない状態だからという恐怖を誤解したに決まっている。断定するのはまだ早い。

こうやって私が一人頭の中で自分に言い訳し続けている間にすっかり目の前の相手は眠りに落ちてしまっている、意識されてないのは腹立たしいなあ。


「私は…ちょろい女なのかもしれないけど……安売りする気はないからね」


聞こえないであろう相手に一言だけ告げて私も眠りについた、出来れば初めては命令ではないといいなと思いながら。

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