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冒険者ギルドは基本

とりあえず最低限の生活費を稼ごうということで冒険者ギルドにやってきた。なんと初回の登録料は無料という親切さである、貧乏人にも優しいなと感心した。そういえば通貨はどうなっているんだろうか。


『銅貨,銀貨,金貨,白金貨,魔銀貨,魔金貨,神鋼貨があって100枚で次の硬貨に移るようになっています。ちなみに宿代は銀貨1枚もあればいいところに1週間泊まれますよ』


ユニが丁寧に教えてくれたので貨幣システムも安心だ、ただこれだけ万能だと頼りきりになりそうで怖いんだよな。とりあえず最低限どこかに住む程度の金を稼ぐとしよう。


「いっ…いらっしゃいませ、ご用件はなんでしょうか」

「えーっと、冒険者登録に来ました」


俺はちょうど人がいなくなった受付の前にきた。金髪のショートボブで少し幼さを残した可愛い女の子で【創造神眼】によれば15歳らしい。今後もこの子の受付を利用していたらフラグとか立ったりしないかな。ちなみに【創造神眼】は本気を出せばその人の来歴とかもみられるらしい。何でも知ってるユニが言ってたから間違いないが人でいる間は隠蔽系無視できる【鑑定】として使っていこうと思う。


「かしこまりました。少しその水晶に触れていただいてもよろしいですか?スキルや犯罪歴などを確認したいので」


これステータスがなにも表示されないのは少々まずいかもしれない。ユニ、これステータス誤魔化せたりするのか。


『全く、さっき頼りきりがどうとか言っていたのにもう質問ですか?【創造神衣】で偽装ができますから早くしてください』


文句を言いながらも助けてくれるユニに感謝しつつ俺は適当にステータスを変更してから水晶へと触れる。


名前 レン

種族 ヒューマン

性別 男

年齢 18

レベル 1

ランク F

<センス>

生命 L

魔力 S

知力 S

筋力 B

精神 A

器用 A

敏捷 A

幸運 L

<スキル>

【健啖家】

体調が悪くならない。ユニークスキル。

【魔法の天賦】

魔法に対して才能がある。ユニークスキル。

【剣の天賦】

剣に対して才能がある。ユニークスキル。

<魔法適正>

火,水,土,風,光,闇



これくらいなら人間の範囲といえるだろう。【創造神衣】はステータスの隠蔽だけじゃなく偽装もできるようで助かった。


「へ!?……失礼しました。レン様ですね、私はミナといいますよろしくお願いしますね。これでギルドカードの登録は完了です。続いて冒険者の説明をさせていただきます」


この驚きを見る限りやりすぎだったようだ。驚愕を張り付けた顔をした後にちょっと熱いまなざしで俺を見てくるミナは正直グッとくる。意識を強く持ち、ちらりと周りのステータスを確認してみたがAすらほとんどない、完全にやらかしたぞ。元々自重なんてする気はなかったから最初に目立つか後に目立つかの差だったから問題ないと自分を納得させる。


「お願いします」


俺はなるべくこれくらい普通だと思わせる態度でカードを受け取りながら返事をする。


「冒険者にはランクがありまして最初は皆さんFランクから始まります。クエストをこなしてギルドポイントを貯めることでE,D,C,B,A,Sと上がります。このランクに合ったクエストを受けることが可能です」


なるほど、つまり最初はFランクのみ受注可能ってことか。センスが高いと初期の能力も高い、いきなりクエストに挑んでも問題ない程度には今の俺のスペックは高いと言っていいだろう。ガンガン依頼を受けてランクを上げていくのも楽しそうだ。


「さっそく仕事をしてみたいのですがFランクの仕事ってなにがありますか」

「えーっと今出てるのは採取依頼が7件、討伐依頼が5件ですね。どれにされますか」


依頼書を見せて貰って眺めているとちょっとわくわくして自然と顔がほころぶ。何も経験していない俺にとって全ての経験は素晴らしいものだ、世界を見て回ることのできる冒険者という職業を進めてきたユニに感謝をしないとな。普通の職業だとこうはいかないだろう。まずは流石にレベル1でいるのは嫌なので弱めの敵でレベルを1つあげてみるとしよう。依頼書に書いてある危険度を見ながら討伐依頼のスライム20匹の討伐、報酬銀貨5枚を受注することにした。冒険者は雑魚モンスター相手でも命の危険が存在するため比較的報酬が高いらしい


「ギルドカードに討伐数は記録されますので狩り終わったら帰ってきてください。ドロップアイテムは自由にされて結構ですので」


スライムから落ちるアイテムなんてたかが知れてるだろうが貰えるものは貰っておこう。ちょっと好感度を稼ぐためになんか土産でも持っていこうかと思ったがスライムごときのドロップアイテムなんてゴミになるだけだろうしやめておこう。


「それじゃまた後で」

「お気を付けください、貴方に幸運があらんことを」


ギルドから出た後で気が付いたが俺は文無しなので武器が買えなかった。しょうがないから素手と魔法でなんとかするか。




今の人かっこよかったなぁ。受付嬢ミナは先ほど新規冒険者登録を済ませた彼のことを思い出す。

彼を見た時流れ作業でした挨拶が思わず一瞬止まってしまった。人生を楽しみたいという意思に満ちた黒い瞳に整った顔立ち、この辺りでは珍しい黒い髪が印象的だった。大人びて見える容姿なのにクエストを選ぶときの子供っぽい表情というギャップもいい。そんなことを考えていた彼女に隣にいたラーナが話しかけてきた。


「今の人かっこよかったよね!登録って言ってたけどステータスはどうだったの?」

「ですよね!えーっと」


やはり彼は他の人が見てもかっこいいらしい、他にも女冒険者が何人か見惚れてた。ステータスについて彼女が言いよどんだのには理由がある、それは彼のレベル。普通に生活しているだけで経験値は勝手に溜まる、つまり18歳でレベルアップがしやすいヒューマンがレベル1なんてあり得るわけがないのだ。たとえ生まれてずっと監禁生活でも3にはなるだろう。

つまり彼のステータスはほぼ間違いなく偽装されている。


「えーっと、普通でしたよ。ただ【剣の天賦】を持っていたから成長が期待はできると思います」

「んー、どうせならあのルックスでステータスまで最強とかなら完璧なのに」


少し罪悪感に駆られながらラーナに嘘をつく。レベル1がありえないなんて常識なのに堂々とそのステータスを晒してきたのだ、何かわけありなのだろう。

だがもっと驚いたのは彼のステータスである。Lなんて登録されているすべての冒険者の中でも20人しか持っていない、それを2つも持っているなんて隠そうとしている能力ではない。あんな目立つステータスに偽装する理由なんて1つしかないだろう。ミナは自分の中で結論を出した。

彼の本当のステータスはあんなものではない。常識を知らなったためある程度下げて表示したというのが正解だろう、水晶に手を置く前に少し動揺して止まっていたのもそう考えると納得できる。ミナはクエストに行ったそんな規格外な彼の成果を楽しみにしつつ仕事に戻った。

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