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プロローグ

気が付いたら俺はそこにいた。これだけ聞いても訳が分からないだろうがそうとしか言えない。ここはどこだ。頭には真っ新になったというよりは強引に不必要な部分だけかき消されたような不快感が残っている。辺りを見回すと石で作られた建造物が立ち並んでいてそれらが街を構成しているのは理解出来る。

問題は俺自身のことについてである。名前がレンというのは覚えているがそれ以外の情報については記憶が欠落している。何もわからない人間を外に放り出すならそもそもしっかりと状況説明をして然るべきだろう。


『それでは説明させていただきます』


俺の頭の中を読んだかのような言葉が聞こえる。誰か俺に話しかけたかと思ったがそんなことはないので幻聴かテレパシーの類だろう。何者だろうか。


「私はあなたの持つ【森羅万象】というスキルの意思です。ユニとお呼びください」


そのスキルってのがなんなのかはわからないがとりあえず人じゃない何からしい、透き通るような女性的な声が印象的だ。声を出さずとも俺の考えを読んで必要なことを話してくれるお陰で一般人から頭のおかしな奴がいるという印象を受けずに済んでいる。


『まずレン様は元創造神でございます。しかし自身の記憶と経験のほとんどを抹消して人間へと転生されました、まずはこちらをご覧ください』


名前 レン

種族 超越者

性別 男

年齢 18

レベル 1

<センス>

生命 GG

魔力 GG

知力 GG

筋力 GG

精神 GG

器用 GG

敏捷 GG

幸運 GG

<スキル>

【創造神眼】

創造神の眼。

【創造神衣】

創造神の衣。

【神能全祖】

全ての才能の原点にして頂点。

【権能管理】

ステータスに干渉できる。相手からの許可が必要。

【森羅万象】

意志を持つサポートナビ。

<魔法適正>

火,水,土,風,光,闇,龍,精霊,時空,神,創造


なるほど、自分の能力を殆どそのままにして放置したことはいただけないがレベルが1というのは経験がリセットされたということなのだろう。年齢が18なのは子供時代を送るのが面倒だからなんていう身も蓋もない理由に違いない。


『流石ご自分のことをよくわかっておられます。私はその頃からレン様が創造されたスキルとして働いてきました。超越者という種族は創造神であった名残のようなもので他に存在例がありませんがきちんと人類にカウントされます』


超越者って種族は俺限定か。種族ごとに特性があったとしても参考にできる資料はないということだろう。


『次はセンスについてです。これはそれがどれだけ伸びるかを表しています。レベルの上昇や努力によっての上がりやすさと上限が違うのです』


つまりセンスが低いといくら鍛えてもその能力はしょぼいままということか、調べて自分の欲しい才能が欠落していたら心折られかねないな。このGGってのはどの程度の才能を表してるんだ?


『センスはFから順にE,D,C,B,A,S,Lとなっていますがこれはまともな人類の話です』


そのどれでもないから俺はまともじゃないといいたいわけか、初っ端から自分のスキルに喧嘩売られてるぞ。昔の俺を知っているからか舐めた態度を取るユニだが説明はきちんと続けてくれる。


『才能のある神たちにはGというLの上のセンスがある場合もあります。それを超えるものがGGというわけです』


神すら超える才能か、一体俺はそんなものを残したままなぜ地上に来たのだろうか。せめて人類になりたいなら人類基準に自分の能力くらい調節してほしい。


『例え創造神であっても自分を弱体化できなかったということです。一応レベルが低いので出来ることが非常に限られているということが制限になるくらいでしょう。続いてスキルについて説明させていただきます。簡単に言うと基本能力をセンスとするなら応用能力がスキルになります』


大体分かった。例えば剣の才能があればそのスキルがあるわけか。後付けでそういうの強化できたりしないのか?


『可能です、レベルが上がった時にスキルポイントと呼ばれるものが神の恩恵によって与えられます。それを自由に割り振ることで追加できます』


なあ、俺ってもしかしてスキルポイント貰えなかったりする?最初から完成されてる存在だからとかそんな理由で。俺はいやな予感がしたのでユニに尋ねるとちょっと嬉しそうな声色で返ってきた。


『よくご存じで、記憶がなくてもスペックは変わらないようですね』


つまりこれ以上俺のスキルとやらは成長させようがないということだ、やたら適当な文面のスキルが余程強力なのかもしれない。少し寂しいが次の質問に移ろう。

俺のスキル明らかに人の目に触れたらやばそうなんだけどその辺大丈夫なのか?数多のスキルの中には俺みたいに相手のステータスを見られるってのもありそうなもんだが。俺のそんな疑問にも丁寧に答えてくれる。


『【創造神衣】が【鑑定】などは弾いてくれるので問題ないかと』


便利だな、流石は創造神スキル。これで俺の異様なステータスをのぞき見されて困るようなことはないだろう。俺の持ってるスキルは説明文が雑すぎてどういう効果を持っているかいまいちわからないから他も教えてくれ。


『【創造神眼】は万物の鑑定など、【創造神衣】は状態異常の無効など、【神能全祖】は才能系のスキルの複合上位互換、【権能管理】は人のステータスに干渉して本来変えられないところまで変更できます、【森羅万象】は単純に私のことで世界中の情報がわかります』


異常なんてものじゃない、そもそも説明が面倒だからなどって略された部分が多いだろう。だが無能にされるよりはマシだと割り切るべきか。諦めてユニに次の質問をすることにしよう。魔法適正ってなんなんだ?


『魔法適正とはその人間に使用できる魔法の属性を表したものです、公には全部で8種類ありますが実際には11種類存在します。どの種族でも使える可能性のある火,水,土,風,光,闇、エルフ族の秘術である精霊、龍族にのみ許された龍、神族だけが扱える神,時空、そして主専用の創造です』


本当に万能だな創造神。そりゃ全てを作った存在なんだから当たり前といえば当たり前だが。聞きたいんだけどおすすめの仕事ってあるか?自由に生きたらいいってことだし毎日が楽しい仕事だと助かる。


『冒険者ギルドという名の何でも屋があります。どの辺が冒険者なのか一度訪ねてみたいところですね。あそこは身元の分からない人でも犯罪歴さえなければ雇ってくれます』


何でも屋か、例えばどんなことをするんだ。冒険という言葉に体が反応するあたり俺は自分の世界を前情報なしで見て回りたかったのかもしれない。


『納品やモンスター退治、護衛などですね。この世界はレン様の設定した法則により殺された魔物はドロップアイテムを残して消滅するので後始末にも困りませんよ。こうして魔物が消滅するとき残った生命力が経験値として倒した生命に吸収されます』


それがさっき言ってたレベルアップってことだな。とりあえずレベルを上げれば強くなれるのも合わせて楽しそうな仕組みじゃないか。俺はなかなかいい仕事をしている。


『では、ご検討を。一応は人類に属していますから英雄になろうが王になろうが自由です、どうせ自重なんてしないでしょうから……楽しんでください』


やけに人間臭いスキルだったな。まあ、とりあえず目標は冒険者として働きながら楽しく過ごすってことにしよう。

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