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奴隷商。後、屋敷にて。

い、忙しい。

……昨日は大変だった。


僕がA級の冒険者に昇格すると他の冒険者の対応がガラリと変わった。

以前なら普通に話しかけてきたり、喧嘩を吹っかけてきたりと色々あったのだ。

しかし、今ではこの迷宮都市のA級以下の冒険者たちは僕に対して全員が敬語。辞めてくれとお願いしてやっといつも通りの話し方に戻ってくれた。


そして、A級の冒険者は三十名以下という話だったが、今回僕がA級の仲間入りしたことによって丁度、三十名となったらしい。


因みに、このザリムにいるA級の冒険者は僕一人。


この都市で一番強い冒険者が僕だという。

異世界に来て約二週間。僕はとんだ化け物になってしまったよ母さん。


そんな事よりだ。

今日は何の日か覚えているだろうか?


そう。八十七名の奴隷を買う日だ。


朝十時に起き。

僕はある用事を済ませると約束の時間ギリギリだったので急いで奴隷商へと向かった。



奴隷商につくと昨日と同じく沢山の人だかりが出来ていた。

僕が奴隷商へ近くと野次馬たちは奴隷商人の前まで道を開けてくれた。


奴隷商の前に行くと奴がいた。


「この状況を見れば金を用意できたってこたぁ一目瞭然だわなぁ。さぁ、金貨八十七枚よこしな。そしたら奴隷はあんたのものだ。そして俺は大金持ちだ。」


その言葉を聞いて僕はニヤリと笑う。


「何が可笑しいってんだ!!さっさと金貨八十七枚、870000Rをだせってんだよ!!」


「そもそも、金額を間違えてないか?俺は冒険者だ割引が効くはずだ。それなのに何故、お前はそのままの金額を提示している?」


「ちっ。わーたよ。783000Rだ!」


やっぱりか。

どうやらコイツは知らないようだ。

僕が昨日A級の冒険者に昇格したことを。


「565500Rだぞ?昨日、お陰様でA級冒険者に、なってな。ほれ」


そう言って金色に輝くギルドカードを男にみせた。


「そ、そんな。い、いくら何でもそりゃあねぇはずだ!!昨日までC級だった奴がA級なわけ……それに、この金額だと赤字どころか借金で奴隷落ちになっちまう!」


それが真の狙いだから仕方がない。

僕はこの男をどうしても許せなかったのだ。

この男が奴隷になったらすぐに迷宮の餌にされるだろう。

残酷なことだという事も分かっている。けど、悪いことをしたとは思っていない。

この世界の奴隷は何も悪いことをしていなくても殺されてしまう。僕はそれが許せないだけで悪い事をした奴が死のうが殺されようがどうだっていいのだから。悪いことの基準は僕が独断と偏見で決めるけどね。


因みに冒険者割引は割引した分の金額をギルドが支払うことになっているが、奴隷商、娼館などの店は割引は効いても割引した分の料金の支払いは無いのだ。


それでも迷宮都市の中で商売をする理由。それはランクが高い冒険者は殆ど奴隷を買わないことと買ってもせいぜい一人二人程度だからだ。

多分、高ランクの冒険者は他のことにお金を掛けているんだろう。

奴隷をパーティーに入れるにしても育てるのに時間がかかるし、その間の維持費が馬鹿にならない。この世界の食料は他の物と比べると高いしな。


僕は男に金を渡し、周りの野次馬たちや野次馬の中に紛れている他店の奴隷商人たちに向かって言い放つ。


「奴隷商を経営しているもの達に告ぐ!!今後、この迷宮都市ザリムで売買される奴隷たちに一日三食のご飯を与えること、不用意に、奴隷を虐げ、殺すことを禁ずる!!守れなければこの奴隷商人と同じ道を歩むことになるだろう!」


この言葉を聞いてあたり一体には大きな歓声が起きた。とめどなく聞こえる僕への賞賛の声。まさかここまで支持されるとは思ってなかったから驚きだった。



あの後、奴隷商人の男は奴隷の卸売業者に代金を支払えずに奴隷落ち。迷宮の餌にされたらしい。



今、僕はというと、後ろに八十七名の奴隷達《彼女達》を引き連れある所へとむかっていた。


それにしても奴隷契約スキルとは凄いものだ。

八十七名と契約したけど上限はないし、契約すれば主人の命令には逆らえないときた。

まぁ、酷い命令はしないつもりだけどね。



少し歩いて目的地に到着した。


「よし!ついたよ!!今日からここが君たちの家だ!!」


そう言って僕が指さした方にはざっと三百人くらいは住めるであろう屋敷が建っている。

僕が朝起きてから奴隷達《彼女達》を買うまでにしていたある用事とは不動産屋で屋敷を探すこと。

そして、この屋敷は僕が買った屋敷である。


因みにこの屋敷の値段は冒険者割引+交渉値引きにより白金貨百枚。もちろんローンを組んだ。返済期間は五年。頭金として白金貨十枚支払ったから残り白金貨九十枚。それを五年で返さないと奴隷落ちとなるという契約だ。


僕が奴隷達《彼女達》と屋敷の中で初めてしたこと。それは食事だ。

この屋敷には大きな開けた部屋があった。厨房と直接つながっているため食堂にした部屋だ。


僕はアイテムボックスから大量の食べ物を取り出し机の上にに並べ。席に着く。

そこで違和感に気づく。


「なんで皆は椅子に座らないの?」


僕のこの言葉に奴隷達《彼女達》は困惑している様子。

そして一番近くにいた猫耳の奴隷、ミーニャが口を開いた。


「あ、あのご主人様。一般的に奴隷はご主人様と食事することは致しません。ましてやご主人様と同席などとは……」


僕は大きくため息をつき奴隷達《彼女達》に言った。


「僕は君たちを物のように扱うつもりもないし、僕の奴隷は僕と同じ席でご飯を食べるのが普通って決まりなの!それが納得出来ないなら。これは命令だ!席に座って僕と食事を楽しめ!」


「「「かしこまりました!」」」


僕が命令を下すと、奴隷達は一斉に返事をし席に座ってご飯を食べ始めた。そしてすぐさま命令を取り消すと食べる事を一瞬だけ止めたのだが、誘惑に負けて全員が再度食べ始める。きっとお腹がすいていたんだろう。全員のステータスに飢餓の状態異常がでているしな。


ご飯を食べ終えると彼女達の飢餓の状態異常は消えていた。これでひとまずは安心だろう。


そして次にする仕事の割り振りだ。


僕的には五名は僕と迷宮に潜ってもらって残りはメイドていうのが理想だ。因みに八十七名全員が美形だ。



僕は彼女達のステータスを一人ひとり確認しながら迷宮に連れていく五名えらぶ。


一人目は食事前に会話をした猫耳の娘、ミーニャ。

十三歳で最年少。その割にはしっかりしている。

そして、栗色のショートボブにぴょこぴょこと動く耳、左右に揺れる尻尾。見ていて一番癒される!そばに置いておきたいと思わせてくれる存在だ。

……可愛いから選んだんじゃないぞ?ステータスも見たもん。ほ、ほんとだよ(棒読み)


二人目は白髪ロングヘアのエルフ、リーア。

エルフなのに十六歳。真っ赤な瞳はとても凛々しく可愛らしい。それに加えて加護持ちで。精霊の加護を持っている。優秀な精霊使いになりそうだ。


三人目は茶髪ショートヘアの龍人族ドラゴニュート、アリス。

十八歳で再年長の一人。一見普通の女の娘だが他の娘と比べて異常なほどまでに高いステータス。更にユニークスキルの欄にある龍化は強力そうだ。


四人目は桃色のロングヘアーの人間ヒューマ、リリ。

この娘は呪い持ちだ。“聖封の呪”によりステータスが半減されているにも関わらず人間ヒューマの平均ステータスより少し多かった。呪いを解けばこの娘はきっと化けるだろう。


最後の五人目は黒髪のロングヘアーの人間ヒューマ、アカネ。

十六歳でこの娘はなんとユニークスキルを二つも所持している。本人は隠しているっぽいがこの子は日本人だ。アカネと名乗りはしたがステータスのを見れば一目でわかる。ステータスにはアカネ・ヒイラギ(柊明音)と記載されているのだから。



僕は五人を別室に連れ、迷宮に潜ってもらうことを説明する。


「君たちは僕と一緒に迷宮に潜ってもらう事になる。」


僕の言葉を聞くと彼女たちは露骨に嫌そうな顔をした。リリは今にも泣きそうな顔になっているし。

まぁ、迷宮は危険なところだし無理もないか。


「そんな嫌な顔するなよ。君たちがちゃんと戦えるようになるまでは守ってやるから。」


「あ、あの」


「どーしたんだ?ミーニャ」


「ご主人様は私たちを迷宮の餌にするつもりでは無いのですか?」


え?

この娘たちはそんな酷いことされると思っていたの?

……色々苦労してきたんだろうな。

ミーニャ以外は自分から話そうとしてくれないし。


「君たちは少し意識を改善した方がいいな」


「と言いますと?」


「君たちは奴隷であって奴隷にあらずだ。僕と奴隷契約はしてあるけど、僕からしたら君たちは仲間でほかの子達はメイドなんだよ。君たちは僕にとって大事な家族ってことを忘れないで欲しい。」


「……家族ですか。」


ミーニャは小さな声でそう言うと耳をぴょこぴょこ動かし嬉しそうにしている。このまま抱きしめたい気分になるがここは抑えて撫でるだけにしよう。

そして僕はミーニャを撫でながら言った。


「それと。僕のいた所には奴隷制度なんてなかったんだよ。……そうだよね柊明音さん?」


アカネは目を見開き僕の目を見た。

かなり驚いている様子だ。


「ご主人様とアカネさんはお知り合いなのですか?」


「私も少し気になります。ほんの少し。」


ふむ、少しずつ打ち解けてきたようだ。

だけど、そんな凛々しい目で見ないでくれリーア。

アリスもそんな興味津々なめで見つめないでくれ。

可愛くて直視できない。



「同郷ってだけだよ。ほら見て僕と同じ黒髪!」


「そう言われてみるとそうですね。」


「確かに少し顔つきも似ていますね。ほんの少し。」


リーアは凛々しい顔立ちに合うようなクールな喋り方でアリスは口癖は変わっているな。


僕が同郷と言ったからだろうか?少し間を置いてアカネは僕に向かって口を開いた。


「ご、ごしゅ……カイは……に、日本人?」


他の娘たちはアカネが僕を呼び捨てにしたことに対しビクビクと肩を震わせた。

僕は気にしてないから怖がらないでと皆を安心させる。

きっとご主人様と言うのが恥ずかしかったんだろうな。


「そうだよ。僕は日本人だ。」


僕が同郷だと聞いて安心したアカネは急に泣き出してしまった。かなり焦った。

きっとこの世界に来て右も左も分からないまま奴隷になって不安と絶望を味わったんだろうな。


僕は彼女をそっと抱きしめる。


「辛かったよな。もう、大丈夫。僕が守ってやるから。」



アカネが落ち着いたところで話を再開。

アカネは僕の服の裾を握ったまま離れる様子は無い。それに対抗するかのようにミーニャが僕のあぐらの上に座わると、耳を嬉しそうにぴょこぴょこさせる。

なんだが急に懐かれてしまったようだ。


そして、なにか質問はないかと聞くとリリが手を挙げた。


「どうした?」


と言いつつもリリが手を挙げることは予想していた。


「ご主人さま、なぜ私のような呪い持ちをパーティーに入れようとお思いになったのでしょうか?」


この娘はなんというか透き通るような綺麗な声をしていてしゃべり方は少し上品だ。


そして僕はリリの質問に答える。


「君たちは全員はLv.1だろ?そのなかで人間ヒューマはリリとアカネだけ。アカネは僕と同郷ってこともあってLv.1とは思えないほどステータスが高めなんだ。そしてだ、リリは呪いさえ解けばアカネに匹敵するほどのポテンシャルを秘めている。そのポテンシャルは計り知れない。って言ったら信じるか?」


「……皆、信じてる。」


アカネは僕の裾を握ったまま言った。

アカネの言葉にここにいる全員が首を立て降る。

うん。信用してくれていて何よりだ。


僕が喜びに浸っているとリリは悲しそうな顔をひて言った。


「ですが、ご主人様。呪いとは状態異常とは違い治す事はできないのです。両親に気味悪がられ……捨てられ……奴隷商人に拾われました。そんな私を何故、パーティーに入れようなさるのですか!」


リリの声は震えていた。

そんなリリを安心させるかのようにアカネは言ったのだ。


「……カイなら、呪い、とける。」


その言葉を聞いたリリは目を輝かせながら僕を見つめる。


「え、ちょっ、アカネさん?」


「……できない、の?」


いや、できないことは無いと思うけど……なんでアカネは僕が呪解できると言ったんだ?

それは後ほど聞くとして……


……呪解しますか。


「できるよ。」


「ほんとですか!?」



リリ、そんなキラキラした目で見つめないでくれプレッシャーに弱いんだよ。


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