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電話。後、奴隷。後、A級。

いやぁ、展開早いですねぇ。

迷宮都市ザリムに来て二週間がたった。

相変わらずランクはC級のままでB級になるにはポイントがあと少しという所だ。因みに試験である二十階層突破はクリア済みだ。


なんだかんだで僕の異世界ライフは充実していた。

そんなある日の朝、寝ている僕にそれは起こった。




ジリリリリン!!ジリリリリン!!


頭の中でなるこの大音量。

まるで黒電話のような音により目覚める。


「うるさい!!!」


あまりの大音量にキレつつ目を開けるとメニューが表示されている。


【電話をつなげますかyes/no】


え?


恐る恐るnoを押す。


ふぅ。止んだ。


ジリリリリン!!ジリリリリン!!


【電話にでてください(泣)yes/no】


再度なる着信。ホラーだ。


意を決してyesを押す。


『あ、やっと出てくれた。えと、あのー怒ってる?』


この声は……アルシェ様!?

い、いえいえ、怒ってないです!!


『え?でも、さっきうるさい!!!って……』


それは、その、いきなりだったので、つい。

朝に弱いんです。


『ははは、ごめんごめん。』


所で急にどうしたんですか?

音声神託を使ったという事はそれなりに重要なことがあったのでしょうか?


『いや?ないよ?』


では何故いきなり?


『君が一向に電話してくれないからじゃないか!!』


え!?

重要な時使えって意味じゃないんですか?


『基本的に女神って暇してるからさ。』


あ、なるほど。理解しました。


『あと、何で女神召還あんまりつかわないんだい?』


女神様達に迷惑をかけるわけにはいかないですし。

それ以上にプライドがあります。


『ふむ、というと?』


僕は女性に守られるより守りたい人なんですよ。


『君はさすがだね!惚れ直したよ!!』


惚れていたんですか?


『女神ジョークさ!』


ですよねー


『まぁ、その力は既に君の力だ。君の好きなタイミングで使うといいよ。ただ、その力は惜しみなく使った方がいいとも言っておく。この際プライドなんて捨ててしまえとも言いたい。女神召還は使用時に最も必要な力を与えてくれる女神が召喚されるんだ。そして、女神たちはいつ召喚されるのかを待ちわびている。君の力になりたいと思っている女神は一人や二人どころではないんだよ。私からも召還されたら加護を与えてやってくれると嬉しいと伝えているからね。』


……何故、そこまでしてくれるんですか?


『君が私の加護を受けているからだよ。女神は加護を与えた者を幸せにしたいと願うものさ。そして力を使わなかったことを後悔する日が来るのが一番辛いんだよ。』


……そこまで言われたら仕方ないですね。

これからはアルシェ様や他の女神様のためにもこの力をできる限り使っていきたいと思います。


『それでいいんだよ。じゃあ、今日はこれでおしまいにしようか。じゃーね!あ、最後に一つ!次からはきちんと喋ってよね!心の声を聞くのって案外難しいんだから!』


こうしてアルシェ様との初めての通話はおわった。



アルシェ様との通話を終え、宿にある食堂で食事をる。


よく考えてみると女神様たちには申し訳ない事をしていたと思う。召還されるのを待ちわびているとは知らず、召喚するの控えようなんて思っていたんだから。


そんなことを考えながら食事を取り迷宮に潜るための準備をすませた。


さて、今日も一日がんばりますか。



僕が泊まっている宿から迷宮までの距離は歩いて二十分はかかる。その道中、近道となる薄暗い路地は奴隷商となっている。


この世界の奴隷は物としてしか扱われない。親が迷宮で死に路頭に迷った子共の殆どが奴隷となり、男であれば迷宮の餌にされ女であれば売買される。はっきりいって胸糞悪い。これさえ無ければ文句ナシの異世界だったのだが、完璧な世界というのはどこにも存在しないのだろう。


僕は迷宮に向かう時、必ずここを通る。

路地の両サイドには檻が並べられていてその中には約百名の奴隷が入れていて見るに耐えない。

ここを通る理由は奴隷たちにパンと飲み物をに配るためだ。もちろん全員にだ。


「あんたも物好きだなぁ。」


話しかけてきたこの男は奴隷商人だ。


この奴隷商で売られているのは全員が女性で着せられているのは汚い布一枚。そんな彼女らを見るのは、はっきりいって辛い。


僕は奴隷商人を睨みながらに言ったのだ。


「そんな事よりもさ、このたちにはご飯をちゃんと食べさせているのか?どの娘も痩せていてるじゃないか。」


奴隷商人はニヤリと笑うと僕を挑発するかのように答えた。


「最近はどっかの冒険者さんが全員に飯を与えてくれるからなぁ、与える必要なんてなくなっちまった。ヒヒヒッ。」


僕はあふれる怒りを抑えながら言い返した。


「死んだらどうするつもりなんだ?」


「そりゃあ、迷宮に喰わせるだけに決まってんだろうが。何たって殺しても罪には問われねぇんだからよぉ。」


僕はここで我慢の限界が来た。

奴隷商人を睨み声を荒らげながら言い放つ。


「このたち全員でいくらだ!僕がまとめて買い取ってやる!!」


言ってから思った。


やらかしたと。



あの後、奴隷商人はニタァとした笑みを浮かべてこう言った。


「ここに並べられている全ての奴隷は全て十歳から十八歳の上玉。しかも処女でよぉ。一人頭、金貨一枚なんだわぁ。それが八十七名だぞ?870000Rだぞ?ホントに買えんのか?買えねぇよなぁ?」


僕はその金額を聞いて驚いた。

人間一人の価値が金貨一枚だと言うのだ。

安すぎるにも程がある。ふざけ過ぎだ。


「買う。男に二言はない。明日までにはお金を用意するから一人も売ったりするなよ。」


「そう言って逃げるつもりかぁ?冒険者はこれだからよぉ!」


「契約書を出せ。」


「はぁ?本気かぁ?」


「本気だ。」


この世界での契約書は魔法が付与されており、契約内容を破ると即奴隷もしくは死という恐ろしいものだ。


僕は奴隷商人と契約を交わした。

明日の夕方までに料金を持って来なければ即奴隷となる。さらに命令によって迷宮の餌になるというおまけ付きだった。



契約を交わし、僕は迷宮に向かった。

今、僕がいるのは迷宮の前だ。


周りの冒険者は僕に注目している。

今朝の奴隷商での出来事は既に迷宮都市全体に広まっていた。

更には【期待の新人は奴隷八十七名を救えるのか!?】というタイトルのビラが配られたり、賭け事が開催されたりと祭り騒ぎになっている。


「人事だと思って……」


ため息をついて苦笑いをする。


そして僕は迷宮の中に一歩足を踏み入れ、一度深呼吸をして師匠に聞いた。


「魔石(大)を落とす魔物が現れる階層を教えてくれ。」


『三十階層からです。三十五階層を超えると確実に魔石(大)が取れるようになります。お勧めは三十七階層にある一定数無限湧きスポットです。』


「お勧め情報ありがとう。じゃあ、行きますか!」


僕は掛け声をあげ、細く笑い迷宮の奥へと走り出した。





迷宮入り口から走り出して三時間。僕は既に三十七階層の一定数無限湧きスポットに到達していた。


C級になってから二週間。あれから僕のレベルはそれなりに上っていて、師匠からは四十階層五階層までなら安全に進めるというお墨付きを貰っている。本音を言うと三十七階層の無限湧きスポットなんて金貨が湧いてくる程度にしか思っているいない。


因みにこれが今のステータスだ。


カイ・イトー 討伐P463


Lv.13→29


HP360→990

MP310→860

AP230→710

DP184→580

MA184→580

MD184→580


【スキル】

・剣術(5/10)→(7/10)

・体術(2/10)NEW

・雷魔法(1/10)NEW

・苦痛耐性(9/10)NEW

・浄化NEW

・火種NEW

・家事

【ユニークスキル】

・ゲーム視・迷宮師匠

【加護・加護スキル】

全世界を統べる女神アルシェの加護

・女神召喚・音声神託・女神の息吹


剣の女神リスエラの加護

・女神の猛攻歌


因みに、ステータスは一般人の約五倍以上も上回っているとか、いないとか。



ここに来てから何時間経過したのだろうか。

無限湧きスポットで魔物を倒し始め。もう何匹倒したかすら覚えていない。

向かってくる魔物を倒し魔石はアイテムボックスに自動回収。攻撃を受けても一秒で完治。


それをひたすら続けた。

苦痛耐性が高いのはこの戦い方を二週間続けていたからだろう。



迷宮に入って十時間くらいがたっただろうか。

既に目標以上の魔石を手に入れている。


「そろそろ帰ろうか。」


そう言い、僕は帰還魔法陣がある階層へと足を進めた。



僕が迷宮から帰還すると辺りは暗くなっていた。

時刻で言うなら夜の九時くらいだと思う。

それにもかかわらず祭り状態は続いていて迷宮入口付近には大勢の人だかりができてる。

露店なども開かれていて関係のない人たちまで集まっていた。


そして、僕が迷宮から出ると同時に沢山の冒険者達囲まれる。その冒険者達を掻き分け、やっとの思いで冒険者ギルドにつくことができた。


冒険者ギルド入ると周りの冒険者は空気を読むかのようにカウンターまでの道を開ける。何だか茶番に見えてきたのは気の所為だろうか?


僕がカウンターに立つと周りの冒険者たちは無言となり、冒険者ギルドに静寂が訪れる。


換金をしてくれるのは係員でお馴染みのアリアさん。心配そうに僕を見つめている。

僕は彼女の目を見て微笑み言った。


「ごめんなさい。アリアさん。」


その言葉を聞いた冒険者たちは「やっぱり無理か。」「C級にはキツかったか」などの言葉をこぼし冒険者ギルドに内は静寂からしんみりした空気になった。


先ほどでまで心配そうな顔をしていたアリアさんに関しては今にでも泣きそうな顔をしている。


そしてこのしんみりした空気の中、僕はアイテムボックスからカウンターの前に魔石が詰まった超巨大な袋を取り出し、笑顔で言った。


「ごめんなさい。アリアさん。ギルド員の皆さん。今夜は徹夜決定ですね!集計、頑張ってください!!」


僕が事前に考えていたこのセリフを言い終わると。ギルド中に歓声があがった。


周りの冒険者は僕を無理やり胴上げし始め、アリアさんは「よがっだぁあ」と声を上げ泣き始る。そして、他のギルド員たちは忙しそうに魔石をカウンターの奥で数え始めた。



あれから四時間が経過し、時刻は既に深夜を超えていた。普通ならギルドの営業時間も超えているのだが、幸いなことにギルマスの計らいによって集計が終わるまで間の営業時間は延長する事になった。ギルマスいたんだと思ったのは内緒。

ギルドの交流スペースでは多くの冒険者が酒を飲みながらどんちゃん騒ぎを起こしている。

そんな中、僕はカウンター呼ばれた。

どうやら換金の集計が終わったらしい。


係員はもちろんアリアさん。目の下を赤くはらしながらも僕の対応をする。


「今回の買取金額は魔石(大)二千三百四十二個でしたので白金貨二十三枚、大金貨四枚、金貨二枚、合わせて23420000Rでございます。」


周りが一気に静かになった気がした。

冒険者たちからは「桁間違えてねぇか?」、「いや、有り得んだろ。」そんな声が聞こえてくる。


他の冒険者は僕が持ってきた魔石は魔石(中)だと勘違いしていたらしい。

僕のレベルやステータスはユニークスキルであるゲーム視の力により鑑定スキルなどで見てもC級にしては強いかな?くらいのステータスにしか見えないから無理もない。


実はこれで二回目で二十階層を突破した時も同じようなことが起きた。期待の新人と言われる由来もそれが原因だったりする。



さて、お金も受け取ったし明日は朝から行きたいとこあるから早めに帰って寝よう。

そう思いカウンターに背を向けるとアリアさんに呼び止められる。


「どうかしましたか?」


「これで、終わりじゃないですよ?」


「えと?何かありましたっけ?」


「今回でランクアップS級必要P20000を超えましたました。そしてA級の試験である三十階層突破をクリアしたということで、カイ・イトーさんのランクがC級からA級に昇格します。おめでとうございます!!こちららがAのギルドカードです!」


そう言うとアリアさんは金色のギルドカードを僕に渡した。


「……綺麗ですね。」


それを聞いてアリアさんは「そうですね」と一言。


こうして僕はA級の冒険者になったのだ。

奴隷の数……

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