突然現れた敵に急いで逃げる三人組
レイとヒカルの口喧嘩をただ黙って見ていたひな。
といっても飽きれて止めることもできないという方がこの場合、正しい思う。
そんな時だった。
なにやら空が曇り始めた。それもものすごい勢いで
「えっ、雨?」
ひなの反応に二人も喧嘩をやめて空を見上げる。
「これは・・・まさかっ!」
「どうやら早く来てしまったみたいだ」
曇り始めたというのは間違いだった。
よく見てみると雲というよりもまるで黒い煙のようなものがどんどん青空を覆っていくように見える。
これがレイが見た黒いオーラなのか・・
「一旦城に戻ろう」
「それよりも黒いの止めるのが先じゃない?」
「解決策もないのにそんなことできるかっ!頭を使えっ!」
「それ、ヒカルにだけには言われたくないんだけど」
「ちょっと、こんな時に喧嘩はやめてください!!」
しかし、ひなが二人をとめるきっかけはまたしても現れた。
煙の中から何かが地上にぼたっと落ちてきた。
それに反応して3人は同時に見る。
黒いスライム上の何かだ。そしてそれは鋭い歯をしてこちらにだだだっと向かってくる。
「来るぞっ!」
「はいっ」
「うぅ、気持ち悪い!」
まるで3人を認識したかのようにスライムはどんどん降ってきて追いかけてくる。
「うわっ、気持ち悪いの増えたっ!」
「ずべこべ言わずに走れ!」
走っていても喧嘩するのかよ・・・とひなは思った時だった。
グギッ!
「うあっ!?」
石につまずいて、ひなはバランスを崩した。
「いたたたっ・・・」
黒いのは容赦なくひなに襲い掛かる。
「足が・・・っ!??」
目をつぶった瞬間、もうダメだと思っていた。
バシッ!!
「・・・・っ」
何も起きなかったため、遅る遅る目を開けるとヒカルが目の前に立っており
黒いのを真っ二つに切っていた。
「レイ!」
「はいはい!」
レイはひなの後ろまで来てどこからかステッキを取り出した。
その瞬間、大きな魔方陣が出現し、黒いスライムは粉々になっていく。
「すごい・・・」
あっという間に黒いスライムは消えてしまった。
「ひな、大丈夫か?」
「はい。なんとか」
ヒカルが手を伸ばしてくれたため、ひなは手を掴んで立ち上がる。
一安心というのもつかの間、黒いのがまた空からふってくる。
「あぁ、また気持ち悪いのがでてきた」
「今の魔方陣、もう一回出せないんですか?」
「無理。あれ結構体力使うんだよ」
体力?魔力じゃなくて??というまでもなく
「城まで急ぐぞ!」
はたしてどうなるの!?