予知能力者と真面目な人は犬猿の仲?
翌日、私はヒカルと一緒にレイという人を捜しに城を出た。
「あの、レイさんというのはどんな方なんですか?」
「変わり者だよ。近いうちに危機が迫った際には役に立つんだが、それ以外はまったくダメなやつだ」
「へっ、へぇ・・・」
私のイメージは悪い方向へと進んだ。
ニート的な?
「最初はどこを探すんですか?」と聞くと「とりあえず日陰の場所を探す」ということで手当たり次第ヒカルが浮かんだ場所に着いていくことになった。
しかしなかなか見つからない。
そもそも日陰の場所を好む人って・・・・やっぱりニート?
「もう日陰のある場所はだいたい探したが・・・見つからないな」
「そうですね・・・」
ぐぐぐぐっ~
「っ////」
「もう昼の時間だな」
自分の腹の虫が鳴り、思わず下を向く一方でヒカルは冷静である。
「なにか買ってくるから、ここにいろ。絶対にここから離れるな」
そういうとヒカルはすぐさまどこかへと行ってしまう。
とりあえず大人しく待つことにした。
すると
「君、ちょっといい?」
「えっ?」
そこには一人の男性が立っていた。
全身が黒一色で不気味
「なにか・・・」
「君、ここの人じゃないよね?」
「えっ」
ここの人じゃないって・・・・
「レイ!」
ちょうどそこへ食べ物を持って戻ってきたヒカルが男に呼びかけた。
「ヒカル。なんでここにいるの?」
「なんでって、お前を探しに来たんだ。散々日陰のあるところを探したのに・・いったいどこにいたんだ」
「・・・逃げてた」
「?何にだ」
「お前から」
えっ?
頭がぽかんとした。ヒカルも同様らしく「はっ?」と答えた。
「まさか、予知で俺が時期探しに来ることを知ってわざと・・・」
「そうだよ。他に何があるの?」
「お前なぁああああああああ!!!!!!」
ヒカルの全身が炎に包まれ怒りに満ちているのを感じた。
「お前は常に女王の側にいなければならないんだ。それなのに城を出ては街でうろうろと!!!!」
「だってずっとあの人の側にいると疲れるんだもん。いくら危機が迫ることがわかるからって常に城の中にいるなんて耐えられないよ」
「なにを子供みたいなことを言って・・・「まぁまぁ落ち着いてください」
見てられないので、止めにはいった。
「すっ、すまない。つい・・・」
「・・・・。要件はその子なんでしょ?この間女王に伝えた予言について」
「あぁ、そのとおりだよ」
「あの、予言というのはどういう」
昨日聞いただけではなんのことかさっぱりだったので、聞いて見ることにした。
「一週間前になるかな。僕は夢で、別の世界から来たと思われる一人の人間が
森の中で現れるシーンが見えた。その後にまた別の映像が映し出されて、今度は黒い大きなオーラが世界を覆い隠して闇に包まれるシーンが見えた」
「それって単なる夢じゃないんですか?」
「誰しもそう思うよね?でも、僕が夢で見たものは必ずどこかで現実に起きるんだ。そこにいるヒカルもよく知っているはずだよ」
そう言われ、ヒカルの方に顔を向けると彼は黙ってうなずいた。
「じゃあ、レイさんの夢に出てきたのが私というわけですか?」
「たぶんそうだと思うよ。夢では人とかって具体的に出てくることがあまりなくて時々白黒だったりしてることがあって今回はそれだったんだ」
「レイ。黒い大きなオーラというのは森の中にいるものと関係があるのか?」
「まだ確証ないけどね。まだ次に夢を見れたら何かわかるかもしれない」
「わかった。じゃあ、それをすぐ伝えられるように城に戻れ」
「い・や・だ」
「はっ?」
「いやって言ったんだよ。い・や・!!」
「お前なぁ!!!!!!」
なんだろう、この二人。
さっきまで普通に話してたのに、城に戻れというと急に・・・
「お前の予知はこの国に必要なんだ!立場を考えてだな!」
「んなの僕だけじゃないはずだろ、世界中探せば僕の能力の持ち主なんていくらでもいるはずだよ」
「何を言っている。この国に生まれた以上、この国のためにだな」
「出ないだけまだマシでしょ?有難く思えよ~」
ガキだ・・・
レイの予言はいつか現実に起きる。
その日がいつなのかまでは、本人にも分からない。
それにしても、私はいったいなぜこの世界へときてしまったのかはいまだになぞである