女王の怒り
黒いオーラはたちまち大きな怪物へと変化した。
それはライオンのように鋭いキバを持った肉食動物の姿をしていた。
「俺はお前のことが理解できない。女はただの・・・遺伝子を受け継がせるための、子孫を残すための道具でしかないというのに。なぜ、そこまで言えるのかさっぱりだ」
がおぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ヒカルさん!!」
「っ!?」
素早いパンチで危うくヒカルは回避でき損ねるところだった。
その証拠にヒカルの頬に軽く擦り傷が出来ていた。
このままではヒカルが持たないと思ったひな。
だが、レイはまだ動けそうもないし、自分の魔法がどれだけ通用するか分からずどうしようと頭の中がぐちゃぐちゃになりかけていた。
その時、ヒカルの身体がきらきらと輝き始めるのが見えた。
「あれはっ!?」
「っ?なんだ?」
気が付いたヒカルは自分の身体を見渡しているとペンダントがあることを思い出しそれを取り出せすとそれが一番光り輝いていることが分かった。
ペンダントはたちまち輝きを増して、周りを囲むようにドバーッと光った。
まぶしくて怪物以外の者達は手で光を遮り目を守る。
そして、光が消えて目をやるとそこには、城にいるはずの女王の姿があった。
「誰だお前?」
「「「女王(様)!!??」」」
ダメージをくらったレイでさえも驚いて声を出していた。
「ほぉ。こいつがそうか」
「話は、全部聞かせてもらいました」
どうやらペンダントに盗聴の魔法が掛かってあったらしい。
「黒き力で他の世界を滅ぼそうとしていること。そして、あなたがヒカルの実の父親だということもすべて」
「お前がこいつの育ての親らしいな。なら話が早い、こいつを俺に返せ。
俺はそのためにわざわざこの世界に降り立ったのだ。赤子の時よりもこいつは使えるようになってきているし、ここよりは充分な仕事に役立つと考えている。
なんなら育ててくれた恩としてこの世界だけ残してやってもいい、それなら話が良いだろ」
女王はしばらく沈黙した。
ひなはいつもにこやかな笑みをする優しい方だという印象を持っていたが、この時は明らかに違った。
まるで殺気だっている感じがひなに伝わる。
「誰が、その話に乗るというのですか?」
その笑みは不気味なものだった。




