詩 幼稚園に行く
授業のいっかんで、幼稚園に行くことになった。
皆、はしゃいでいる中、俺は暗いため息を吐く。
「どうしたの?」
横に並んで歩く彼女に聞かれ、俺は正直に言う。
「子どもに怖がらないかな?」
彼女は可愛い瞼を開閉すると、ふっと笑ってきた。
「ライオンみたいに、怖い顔をしているものね」
「言うな。気にしているんだから」
「ごめん。でも大丈夫だと思うけどな」
「そうか? …あ、着いた」
幼稚園に着くと、子ども達がわあっと集まってくる。
キャーとか黄色い声が飛ぶ中、子どもは元気だなと感心する。
「それじゃあ、1人につき1人相手にして」
先生の指示に、皆が近くに来た幼稚園生と手を繋ぐ。
俺もなるべく優しい顔を意識して、話しかけてみる。
「俺と一緒に遊ぶか?」
すると子どもは首を横に振り、彼女のほうへ行ってしまう。
「え、私?」
「いいから、面倒みてやれ」
俺としては面白くなかったが、そう言うと、他の幼稚園生にアタックしてみる。
「お兄ちゃん、どうだ?」
「うーん、嫌だ」
また違う人のところへ行かれ、俺はショックを受ける。
休めば良かったかと後悔する中、1人だけ跳び蹴りしてくる幼稚園生がいた。
俺は素早く避けると、にやりと笑う。
「いいぜ。お前と遊んでやる」
「べーだ」
舌を出し、馬鹿にしてきたので、こいつなら相手にしてもいいと思い、走り出す。
子どもも、それで走り出し、鬼ごっこの始まりだった。
「すぐ捕まえてやるからな!!」
そう言いつつも、手加減して走る。
子どもはお尻ペンペンしてきて、生意気だなと苦笑する。
俺じゃなければ、相手にならないだろうと勝手に決めつける。
「…よし!! 捕まえた」
子どもを抱きしめると、暴れ出したので、頭をチョップする。
「静かにしろ。今度の鬼はお前だからな」
「えー!!」
「よーい、どん!!」
俺は子どもを解放して走り出す。
子どもは素直なようで、後から走ってくる。
「頑張れ!!」
彼女の声に、軽く手を振る。
やはり手加減して走ると、他の幼稚園生まで走ってくる。
「何だ、それ!?」
訳が分からなくなったが、俺の顔はもう気にしなくていいらしい。
ギャング集団を相手に、俺はわざと捕まる。
「負けた、負けた!! 次は俺が鬼な」
キャーと子ども達が逃げて行く。
彼女もやって来て、声をかけてくる。
「私も鬼の役、やる。子ども、あなたに取られちゃったもん」
「お前、大丈夫か? 疲れるぞ?」
「いいの。あなたと一緒に遊びたいの」
可愛いことを言う彼女に、俺は頬を赤らめる。
ずっと一緒にいような。




