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悪役令嬢と暗黒サッカー  作者: 南蛇井


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第21話 進路変更

焚き火のそばで、レイアはボールを転がしていた。


ジョアンナが隣に座る。


「ついに行っちまうんだね」


「なんだよ」


レイアは軽く笑う。


「サッカーしに行くだけだぜ」


ジョアンナは笑わない。


「……死ぬかもしれないんだよ」


その言葉に、レイアの指が一瞬止まる。


胸の奥が、ちくりと痛む。


「それでも」


レイアはボールを見る。


「サッカーするだけだよ」


ジョアンナはため息をつく。


「あんたって子は」


「こんな時でもサッカーなんだね」


レイアは顔を上げる。


「あたりまえだよ」


「俺はサッカーがしたくてたまらないんだ」


ジョアンナは小さく笑った。


「……ばかだね」


でも、その声はどこか優しかった。


翌朝。


遠征の行軍が始まる。


隊列の前方で、アルとラウルが低い声で話している。


表情は硬い。


しばらくして、ラウルが小さくうなずいた。


アルが振り返り、声を張り上げる。


「進路変更!」


ざわつく隊列。


「遠征先を変える!」


一瞬の間。


「敵は――」


「サッカー王国カルディナだ!」


どよめきが走る。


「は!?」


「どういうことだよ!」


列が乱れる。


レイアは前へ出る。


「どういう事だよ!」


「異形を倒すんじゃないのかよ!」


「サッカーするんじゃないのか!」


アルは冷静に言う。


「サッカーをする」


「俺たちのサッカーをするために」


「まずは、サッカー王国カルディナを倒す」


レイアの声が荒くなる。


「意味わかんねえよ!」


ラウルが口を開く。


「……決まってたことだ」


「異形討伐のタイミングで」


「油断したカルディナを叩く」


「最初からな」


レイアは言葉を失う。


胸の奥が、冷たくなる。


(サッカー……?)


(これが……?)


隊列は向きを変える。


かつてレイアが追放された国へ。


誰も、レイアの方を見ない。


レイアは、握っていたボールを強く抱きしめた。

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