第11話 追放の道
レイアは、手足を拘束されたまま、馬車の荷台に放り込まれていた。
扱いは、人間ではない。
完全に――荷物だった。
「降ろせ!」
声を張り上げる。
「俺は悪くない!」
だが、返事はない。
兵士たちは視線すら向けず、馬車は無情に進み続ける。
――ゴツン。
石が投げつけられた。
続いて、また一つ。
レイアは歯を食いしばる。
(くそっ……なんでだよ)
悔しさが、胸の奥で膨れ上がる。
荷台の板に頬を押し付けたまま、
レイアの目から、涙がこぼれ落ちた。
そのとき――
「レイア!」
聞き覚えのある声。
「お前は、間違ってない!」
ロウガの叫びだった。
だが、その言葉は救いにはならなかった。
(だったら……)
(なんで、誰も助けないんだよ)
悔しさと怒りが、さらに積み重なる。
馬車は止まらない。
正しさも、理解も、置き去りにされていく。
荷台に横たわったまま、レイアは身動きできずにいた。
板の隙間から、外の景色が見える。
――子どもたち。
土埃の立つ広場で、サッカーをしている。
火花が散り、風がうなり、
魔法が飛び交う、いつものこの世界のサッカー。
無邪気な笑い声。
「……くそっ!」
レイアは、荷台を思い切り蹴った。
(俺だって……)
(俺だって、サッカーしてただけなのに)
拳を握りしめるが、鎖がそれを阻む。
やがて、馬車は王国を完全に離れ、
国境を越えた。
辿り着いたのは、
人の気配もまばらな、さびれた辺境の村。
馬車が止まり、静寂が落ちる。
ここが――
レイアの、新しい居場所だった。
それが「追放」の意味だと、
嫌というほど思い知らされながら。




