第10話 断罪の行方
試合後、カルディナ中に噂が広がった。
――レイアは、暗黒面に落ちた。
――所詮は、悪役令嬢だったのだ。
事実かどうかは、もはや誰も気にしていない。
敗北には理由が必要で、彼女はその役を与えられただけだった。
石造りの裁判所。
レイアは鎖もなく、ただ立たされていた。
その扱いが、すでに「結論」を示している。
「なんだよ!」
声を荒げ、前へ出ようとする。
「サッカーしただけだぞ!」
「そもそも、退場させられたのがおかしいんだ!」
だが、叫びは壁に吸われるだけだった。
裁判官たちは感情を挟まず、粛々と進行する。
罪状の読み上げ。
反則行為。
国家の威信を損ねた責任。
すべてが、決められた流れだった。
――判決。
「国外追放!」
木槌の音が、重く響く。
「なんでだよ!」
レイアは叫ぶ。
「次、勝てばいいんだろ!」
「やらせろよ! やらせてくれよ!」
兵士たちが、無言でレイアを取り押さえる。
その時。
「待ってくれ!」
ロウガが、声を上げた。
「彼女には、まだ可能性がある」
「やり方は危険だが……それでも――」
裁判官は一瞥をくれるだけだった。
「可能性、か」
冷笑にも似た声。
「犯した罪の大きさに比べれば」
「何の価値もない」
それで終わりだった。
レイアは、牢屋に押し込まれる。
重い扉が閉まり、暗闇が支配する。
「……なんなんだよ」
膝を抱え、吐き捨てるように呟く。
「俺には、サッカーしかないのに」
「なんでもありだろ……」
拳を握りしめる。
「何が、悪いんだよ……」
答えは返らない。
レイアの声は、牢屋の暗闇に吸い込まれ、
二度と戻ってこなかった。
だが――
この断罪は、終わりではない。
世界が彼女を拒絶したその瞬間、
レイアの中で、別のサッカーが静かに形を成し始めていた。




