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第33話 読者の皆様へ

読者の皆様。


突然、このような形での投稿をお許しください。


はじめまして。

わたくしは、本作の投稿者である 山本ひろこ の父です。


本日は、皆様にどうしてもお伝えしなければならないご報告と、

心からの感謝を申し上げたく、筆を取りました。


 


まず、ご報告です。


わたくしの娘、山本ひろこは、

四日前に亡くなりました。



病気や事故ではありません。


何者かにより、命を奪われました。


 


順を追って、経緯を説明させてください。


娘は、通信機器会社に勤める、ごく普通の会社員でした。

ただ、数年前から趣味として投稿していたミステリー小説(音音の音)が思いがけず多くの方に読まれ、

その頃から読者の方々との交流が生まれていたようです。


しかし、その作品の結末をきっかけに、

一人の熱狂的な読者から、強い不満と執着を向けられるようになりました。


その人物は、娘に接触し、

「一緒に、最高のミステリー小説を書こう」と持ちかけたそうです。


娘がそれを断ったことで、事態は急変しました。


犯人は、娘を大阪市内のセキュリティ会社の事務所へ拉致・監禁し、

自らの指示のもとで、ミステリー小説を書き、毎日投稿することを強要しました。


もし逆らえば殺す、と脅しながら。


 


それでも娘は、ただ従うだけではありませんでした。


娘は、物語そのものを使って、読者の皆様へ助けを求めたのです。


第1話にある、


「本当に大切なことは、後になって気づくものですね」


という一文は、

各話の文章の最後にある数字に注目してほしい、という合図でした。


また、


「きょうがたいせつなのです」


という平仮名だけの文章は、

投稿日そのものを“数字”として使うという指示でした。


さらに、その平仮名表記は、

最終的に数字を

あ〜んに1〜46の番号を割り当てて変換することを示していました。


また、娘は途中で、解読方法そのものを切り替えています。


第11話の冒頭には、

「前をみて、ここへ向かってください」

という一文があります。


これは、

それまで文章の“最後”に置かれていた数字ではなく、

これ以降は“文章の最初に現れる数字”に注目してほしい

という、読者への指示だったようです。


犯人が常にそばにいる状況で、

同じ手法を使い続けることは危険だったのでしょう。

犯人が気づき始めた可能性も、娘は感じ取っていたのだと思います。


 

例えば、第1話では、


投稿日:2026年1月1日 → 202611

文章末尾の数字:+239001


202611 + 239001 = 441612


この数字を、平仮名のあ〜んに割り当てられた1〜46の番号に変換すると、


44(わ)・16(た)・12(し)


つまり、キーワードは 「わたし」 です。


同様に、第1話から第29話までを解読すると、

以下のキーワードが現れました。


(※一覧は省略せず、すべて娘が残したものです)


【私に関する情報】

わたし/つうしん/みすてりさ/しようせつ/かこ/にんきさく/こうかい


【犯人に関する情報】

かれ/えすい/ふあん/きたい/うらきり/せつしよく


【場所に関する情報】

おおさか/えき/くるま/ごふん/けいび/じむしよ


【事件に関する情報】

ていあん/きようさく/きょひ/きようよう/らち/かんきん/おどし/ころす/たすけて/いちいちせろ


娘は、最後まで読者を信じ、

一話一話に、必死でメッセージを込めていました。


 


物語中に何度も登場した「共感覚」の話題も、

犯人の目を欺くための偽装だったのでしょう。


数字に色の意味があると思わせることで、

実際の“数字による暗号”から注意を逸らすために。


 


また、第1話から第18話にかけて多く登場した

「.」や「—」について、

違和感を覚えた方もいらっしゃるかと思います。


あれは、娘が万が一のために仕込んだモールス信号でした。


それは、娘のスマートフォンに搭載されていたAIへの、一連の指示でした。


解読すると、最終的に次の命令になります。


IF MY POST STOPS FOR ONE DAY

THEN CONTINUE POSTING

KEEP MY STYLE

REDUCE EMOTION

HIDE TRUTH AT FIRST

DROP HINTS SLOWLY

GUIDE READERS

TO THE KIDNAPPER

TO THE PLACE

AND TO ME


――もし私の投稿が1日間止まったら、

私の代わりに投稿を続け、

事件の真実へ読者を導いてほしい。


娘の死後も、第30〜32話の投稿が続いていたのは、この指示によるものでした。


娘は、助けを求めながらも、決して感情に溺れることはありませんでした。

冷静に、順序立てて、読者の皆様が必ず辿り着ける道を残していました。



残念ながら、警察が踏み込んだ時、

犯人はすでに逃亡していました。


しかし、

娘のSOSに気づいた読者の方々が通報してくださったことで、娘は早期に発見されました。


深く、深く感謝申し上げます。


娘を探し、

物語を読み解いてくださり、

本当にありがとうございました。

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