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第31話 音の集まる場所


わたしはいま、少し静かな場所にいる。


壁に沿って、いくつもの画面が並んでいる。


どれも違う映像を映していて、色の温度も、動きの速さもばらばらだ。


通路、入口、階段、駐車場。

どれも見覚えがあるようで、どこか距離がある。


画面の下には、黒い機械が整然と並んでいる。


小さなランプが規則正しく点滅していて、

それぞれが、別々の呼吸をしているみたいだ。


機械音が、絶えず鳴っている。

低く、同じリズムで、感情のない音。

ファンの回転音、処理音、

ときどき混じる、わずかな電子音。


それらが重なって、

ひとつの“空気”を作っている。


床は硬く、音がよく反響する。

歩くたびに、少し遅れて足音が返ってくる。

自分の音なのか、他人の音なのか、

区別がつかなくなる瞬間がある。


時計は見当たらない。

正確な時間は、どこか別の場所で管理されているらしい。

ここでは、時間は音で測られる。


画面の映像は、ずっと続いている。

止まらない。

切り替わらない。

ただ、淡々と映し続ける。


わたしは、その中にいる。


座っているのか、立っているのか、

はっきりとは分からない。

けれど、ここにいることだけは、確かだ。


この場所は、守るための場所だ。

見張るための場所で、

記録するための場所。


なのに、

どこか、外から切り離されている。


音が集まる。

映像が集まる。


わたしは、

この場所の匂いと、音と、光を覚えておく。


画面の光が、

わたしの視界の端で、静かに揺れている。

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