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第1話「ウリエ・ルミコ降臨!!」

 四人の天使が円卓を囲み話をしている。

「近頃、人間界で我々を冒涜する者があるらしい。」

「いつもの“それ”とは異なるのか?」

「あぁ、それは自らを〈地獄からの使者〉と呼んでいるようだ。」

「それは滑稽だ。知らないのだなその者は。地獄を天国が取り仕切ってはや何千年。でなければ、誰が死者を天国と地獄に選り分けるというのか。」

「分かっていないんだろうな、そこら辺の仕組みを。教えてやるか。」

「いってらっしゃい。」


 山吹色の髪をした天使は学園に降り立つ。もちろん、怪しまれないようにその学園の制服を着ている。

「制服高かったな。お小遣いなくなっちゃったじゃん。」と文句を言う。

「まさか高校生とは。天使を冒涜していると言っていたからヤバいやつを想像していたのだが、これは別の意味でヤバそうだな。」

 学園を歩き、それらしい人がいないか探す。「広いな。疲れちゃうだろ。ふざけんなよ。」とまた文句を言っている。

 いやでも文句言ってもバチ当たらんやろ。広すぎるんじゃて。ここは何だ、いわゆる私立のお嬢様学園というやつか。そんな気がする。まず校庭が、調和がとれててすげーシャレオツ。天界なんか、あの赤いようなピンク色のような中途半端な天使が「バナナって美味しいわね」とか言って庭にバナナ植えるから景観の調和がくそだし、バナナかと思ったらドラゴンフルーツだったし、実ったドラゴンフルーツ食べて「パイナップル美味しい」とか言ってるし、もう意味わかんないよ。

 制服も黒を基調とした落ち着いたデザインがかわいいし、スカートが短すぎず、長すぎず、この丈がお嬢様の感じがする。天界で着てるやつよりこっちの服の方がかわいいかもしれん。高いけど。

 それにしても反逆者どこやねん。出てこい反逆者、ぼこぼこにしてやる。でもなぁ、すごい技とか使ってきたらどうしよ。ごぼうスラッシュとか。二分割され、きんぴららー。これは手強いぜ……。

「あの……。」誰かが天使に声をかける。女性の声。

「はい?」

「その頭の上についてるものはなんですか? 天使の輪、じゃないですよね?」

「えっ、あぁこれね。最近は電灯を頭の上につけて、写真撮るときに映えるようにするんですよ。知らないんですか? というか、アナタ誰ですか?」

「これは失礼しました。私はこの学園の生徒会副会長の葵あおとと申します。」

「あら副会長さんでしたか、これはどうもご丁寧に。青のメッシュがお似合いですね。長い髪もきちんとお手入れされていて美しい。それにアナタ、青い瞳が地球のごとく透き通っていながらも深みがあって、地球を創った私から見ても高評価です。あと脚も好み。天使ポイント差し上げます。」

「私の容姿をすごく褒めていただいてありがとうございます。天使ポイントって何ですか?」

「天使ポイントが貯まっていると天国に行けます。」

「それはありがたいです。」

「お買い物もできます。1天使ポイントで1円です。」

「死ぬまで貯めておきます。ちなみに今の私の天使ポイントはいくつですか?」

「葵さんは今5ポイントついたので5ポイントです。」

「天国に行くためには何ポイントいるんですか?」

「50ポイントです。」

「うわぁすぐ貯まりそう。」

「頑張って貯めて、豪華な天国旅行に行きましょうね。」

「まだ死にたくはないですが、頑張って貯めてみます。」

「健闘を祈ります。では、ごきげんよう。」

「ごきげんよう。」

 山吹色の髪の天使は、反逆者を探すべく、再び学園内を歩きはじめた。

 葵は手を振り見送る。「あ、名前聞くの忘れた。」


 天使ポイントのポイントカードとか作った方がいいのかな。ポイントが貯まる使える、天使カード。お得だぜ。

「それにしても、今日は誰もいないな。皆死んだか? まさか、ごぼうスラッシュ……!」

「あぁすみません、そこのあなた。」先ほどの副会長が駆けてきた。

「ごぼうは落としていません。って、あぁ先ほどの。」

「すみません、お名前伺ってもよろしいですか? 先ほど聞きそびれてしまって。」

「私は、そうですね。ウリエ・ルミコと申します。ルミコとでも呼んでくださいまし。」

「ルミコさん、よろしくお願いします。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

「ええっと、それでですね。」

「なんでしょ。」

「今日、GWなんですけど、何されてるんですか? 何かを探しているようにも見えましたが。」

「GW……、ゴールデンたまたまよわよわでしたっけ。」

「下ネタというやつですか。ここで。」

「葵さんもご一緒に。」

「「ゴールデンたまたまよわよわ。」」

「これで私たちは友達です。」ルミコは微笑み、二人は握手をする。

 ルミコは周りを見回す。「そうか、今日は休みなのか。じゃあ葵はなんでここにいるの?」

「急にタメ口。」

「いいじゃん友達なんだから。」

「それもそうだね。ええっと、副会長の仕事が忙しくてね。まぁ見回りも兼ねて学校に来たってわけ。」

「大変なんだね、天国より忙しそう。」

「天国って暇なの?」

「まさか……と言いたいところだけど、たぶん暇、なんじゃない? 知らんけど。」

「そうなのか。それでルミコはなんでここにいるの?」

「人探し。反逆者、じゃなくて、悪い人を探してる。けど今日はいなさそうだね。」

「また休み明けに来たらいいよ。」

「それなんだけど、ひとつ相談していい?」

「うん、副会長としてできることならなんでも協力するよ!」

「住むところないんだよね。最近こっちに来たばかりでさ。」

「それなら大丈夫、私の寮に一緒に住めばいい。二段ベッドもひとつ空いているから。」

「それはラッキーあらがっきー。」

「新垣結衣さん。」

「かわいいよね。」

「同意。」

 こうして気まぐれ天使、ウリエ・ルミコのわくわくドキドキな学園生活がはじまった。

 ──第1話「ウリエ・ルミコ降臨!!」

【登場人物】

ウリエ・ルミコ:山吹色。天界から来た天使。ごぼうチャンバラが得意。

葵あおと:青色。生徒会副会長。ごぼうチャンバラは苦手。

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