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第55話 最悪の女

キラリは男に促されるままにホテルの中へ入る。


このドアの向こうには………本当に翼が居るの?


翼………


今度こそちゃんと伝えなきゃ………


私の気持ち………


私の想い………


やっぱり私は翼が居なきゃダメだよ………


キラリは翼に会える期待感で完全に周りが見えなくなってしまっていた。


男が先にドアを開けてキラリを先に部屋の中へ入れる。

そして男がキラリの後ろでドアを閉めて


謎の男「翼?翼?」


男が声をかけたが部屋の中は静まり返っている。


キラリ「翼は?翼は居ないの?」


謎の男「もしかしたら………少し遅かったのかも知れない………」


キラリ「それは………どういうこと?」


謎の男「俺がキラリちゃんを探しに行ってる間に………」


キラリは期待を裏切られた喪失感に打ちのめされる。


キラリ「そんな………そんな………やっと会えると思ったのに………今度こそ………ちゃんと………」


キラリはその場に泣き崩れてしまった。


どうして………どうしていつもこうなるの?


どうしていつも上手く行かないの?


神様はきっと翼を連れてきてくれると信じてたのに………


謎の男「キラリちゃん………行こうか………」


男は優しくキラリの肩を抱えて立ち上がらせ、肩を抱きながら部屋を出る。


そして男はこのホテルを出て


謎の男「送ってくよ………済まなかったね………翼に会わせてあげられなくて………」


キラリは泣きじゃくって男の言葉に反応しようとしない。


男はキラリを車に乗せて、そして運転席から助手席のキラリを抱き寄せ、そして無理矢理キスをしようとした。


キラリは驚いてとっさに男を突き飛ばし、そして身体を小さくして固まっている。


キラリ「何!?何でこんなことするの!?」


キラリは目を見開き正面を向いて助手席のドアに張り付くように男から距離を取る。


謎の男「ごめん………」


男はその一言だけ言って車のエンジンをかけ車を発進させた。


キラリはこの男に不信感を抱いて何も喋ろうとしない。

男も気まずさなのか、一言も発せず、ただ黙って顔をしかめながら運転していた。


キラリを乗せた車はキラリの家の前につけられた。


キラリは何も言わず車から降りて、慌てて家の中へ入っていった。



その後すぐに男は電話をかけた。


謎の男「もしもし?上手く撮れたか?」


男「あぁ、バッチリだ!」


謎の男「歩実もほんとに鬼畜な奴だな………あんな純粋な女の子にこんな酷い仕打ちをするなんて………」


男「歩実からあの女にどんなことしても構わないって言われてたんだろ?どうだったんだよ?」


謎の男「出来るわけないだろ!むしろ、見ててこっちが悲しくなっちまうぐらいだったよ………」


男「そうか………まぁこっちは金さえもらえばいいわけだが………」


謎の男「お前………変な気起こすなよ!あの娘は本当に純粋な女の子なんだ!」


男「何だよ、いやにあの女に感情移入しやがって。まさかお前………」


謎の男「いいからあの娘にはこれ以上関わってやるな!」


男「歩実の命令が出たらどうするかわからないぜ!」


謎の男「お前………」





~翼の実家~




翼の父が大きめの封筒を持って翼の部屋をノックする。


〝コンコン〟


翼の父「翼居るか?」


翼「この家に軟禁しといて居るかは無いだろうに………」


と返事をした。


翼の父はドアを開けて入って来た。


翼の父「翼………まだ例の女子高生のことを考えているのか?あの娘は止めておけ!あの娘はお前が思っているような清純な娘ではない!」


そう言って大きめの封筒を翼のテーブルの上に〝ポン〟と置いてそのまま立ち去った。


翼はその封筒の中身が気になり開けて取り出した。


翼「これは………またやってくれたな………」


翼は数枚の大きくプリントされた写真を見て怒りに満ちた目付きでドアの方を睨む。


親父は何もわかっちゃいない!こんな見え透いた手口でキラリのことを諦めさせようなんて、馬鹿にするのもいい加減にしろ!

しかし、このままこんな所でいつまでも捕まってる訳にはいかなそうだな………

親父のやり方がどんどんエスカレートして、本当にキラリの身に何か起きてしまってからでは………



翼はどうにかしてこの家から脱出する方法がないかと思案している。




~歩実~




謎の男「もしもし?成功の報酬はいったいいつ貰えるのかな?」


歩実「あんた、あの娘に何をしても構わないって言ったの覚えてる?」


謎の男「あぁ、もちろん………」


歩実「じゃあ何で何もせずに解放してやったの?」


謎の男「何をしても構わないとは言ったが、何かしろとは言われてない………」


歩実「あぁ呆れた……私の言葉の意味を理解出来なかったのね……そんなんじゃ満額報酬なんて払えないわ……今回は半分ね」


謎の男「そんな!お前、ちゃんと言われたことはやったのにそれは無いだろ!」


歩実「悪いけど、あんたの残りの報酬はもう一人のあんたのお友達に払うことにしたわ。そっちの人にある提案持ちかけたら喜んで引き受けてくれたもの!」


謎の男「お前………まさか………」


歩実は嘲笑う。


歩実「次の報告が楽しみで仕方ないわ!私に恥をかかせて、楽しそうにぬくぬくと生きてられると思ったら大間違い!地獄を見せてやらないと!」


謎の男はそれを聞いて絶望していた。

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