第七話「本物の狂いし者」
「はぁ。落ち着きました。別にいい。良いよ、良いさ。やってやるよ。」
と、あまり納得してない納得の仕方をした。
「おう。たすかる。そうだ。後で、能力について知りたいから教えて。いまいち怪能とかの違いがわからん。」と疑問をいった。
「ま、マジスカ。なら仕方ねぇや。わかりました。取り敢えず、戻りませんか?」
《事務所》
「えーっと。」
「破天荒過ぎる。阿呆か。お前は。はぁ。もういいや。」
【彩牙】の面々に説教を食らっていた。
《30分後》
「_:(´ཀ`」 ∠):」
「絵文字で言うなやクソ野郎。」
とにかく阿呆な説教話と化したその後。
いきなり巨大な爆発音が鳴り響き、事務所が崩落した。
「能力行使反社会組織【狂乱】。その3人の幹部が1人。『狂花』。焔咲綾香。」
「あ、ねき?」
嘘だろ。マジかよ。やられた。相手側、もう1人因縁の相手が居たのかよ。
「あら、朽葉。元気?貴方、こちら側においでよ。一緒にまた過ごせるわよ?」
「あ、ああ。良いぜ?姉貴。そっち側に行くよ。…………なんて言うと思ったか?間抜け。クズが‼︎姉貴が!んなこと言うわけねぇだろうが!」
「君に良い情報を与えよう。朽葉君。奴の権能は『寄生』だ。」
「アハハッ!まさか、ホントに裏切ったとわね!思わなかったよ。ああ。悲しいなぁ」
マジかよ。さっきから、訳わかんねえ事ばかり。でも、取り敢えず、共通の敵。ぶっ潰す!
「アハハハ。そうだよ。知らなかったのかい?『狂花』、リン•ラーペラント。」
「日本語勉強したんだからさー、日本人でいたいなってね?」
ここからは、俯瞰、つまり第三者視点で行かせてもらう。
「さて、どうされたいの?」
彼女――リンは、その美貌をグシャリと歪めて笑う。
そして、ランがおもむろに腕を振ったかと思うと、その直線全てが焼き払われていた。
「なんなんだ⁉︎こりゃあ⁉︎」
そう智也は言う。
「これ、姉貴の異能。そう言う事か。どうやら本当に。寄生してる様だな!」
と、激昂して朽葉は突っ走っていた。
「待て!」
と呼ぶ仲間の声も聞こえずに。
「残念。本当に残念よ。男には寄生出来ないの。それとね、今まで寄生した者達の異能。扱えるのよ?勿論、1人につき一個だけだけどね?『蔦結』。」
「前思撤回。お前も俺の仇決定だゴラァ‼︎」
1人目の、『本物の狂いし者』リンとの戦いが始まった。
リンは蔦で搦め手を扱いつつ、腕の一振りによる直線上の焼き払い。それら全て、貰い物。『火炎の腕』も、『蔦結』も。『火炎の腕』は、朽葉のお姉さん。『蔦結』は、智也のお姉さんの異能だ。悪。その一言で済むかすらも分からない程の邪悪。今、【彩牙】メンバーと【狂乱】の最強の一角が争う相手らそんな奴だった。阿崎は自身の権能はそこまで強いものでは無い事を知っている。だから、自分の霊力特性を操り、式神を扱い、巫術を鍛えた。今まで、その力を破壊の為に使ってきたが、今は違う。絶対に目の前の邪悪を倒して見せる。そう、決意していた。
「フフッ!なかなか粘るじゃない!我が花に着く羽虫ども!安心なさい。すべからず、この男の様にしてあげましょう。」
「ぐっが。ッア。」
「蘭‼︎」
阿崎の眼前に、恐ろしい真実を見せられる。それは、信頼した仲間の死。だ。『心酔』。凛堂蘭の瀕死の姿だ。
「ふざけんな、『狂花』。権能『酩酊』。霊力特性『影』式神召喚『影天』!」
「まかせて。阿崎。」
「へ?」
「あ、ヤバっ!」
なんと、片言でしか喋らなかった式神。俺の姉貴が普通にしゃべったのだ。
「アハハハ。ま、また後で説明するから、今は任せて?」
「「お、おう。」」
そう、力の無い返事をするしか無かった。