第一章最終話 第四話「神と鬼の両椀」
「チッ。全能【神の左腕】。」
俺はもう一つの能力を開示する。それによってなんとか難を逃れた。
そして左腕を振るう。その瞬間、振り上げた直線上のものが全て焼き払われる。無論人、式神でさえも。
「ガアアアア⁉︎」
驚いたような顔でひたすらに呻く。歯軋りをして踏ん張っているようだ。だが。そんな甘い事はない。
「“風――」
「“神の一振り”。」
左腕を本気で振るう。そして、式神――風雷はその直線上に存在した為に遥か遠くまで飛ばされる。その結末に陶酔している彼女は満足そうに頷き、
「さて、楽しかったわよ。式神も飛ばされちゃったし、私も帰るわ。また遊びましょう。【狂乱】『酔狂』配下『陶酔』平手朱理よ。それじゃあ!」
と言って帰っていった。
今、俺達は【彩牙】の事務所に居る。そこで、今日知り得た情報をまとめている。
「取り敢えず、大っぴらに言うと阿崎には配下が居て、そいつらは【狂乱】内部でも上位だろうな。更に、怪能「鬼の右腕」と全能「神の左腕」も相手に知られた。まぁ、左腕の方はほぼ能力としては使ってないけどな。そんで、『陶酔』の朱理と、『酔狂』の阿崎……か。」
「ああ。ほんとにどうしようもない気がするな。そんで?【彩牙】所属の『紅牙』さん?どうしますかねぇ?」
と、俺のまとめに対し、朽葉が口の端を緩め笑みの形をとり、問いかける。……そんなもん、答えはもちろん
「ぶっ潰す。ハンデ背負ってトントンだ。俺の姉貴を殺した屑野郎に天罰を。そして、地獄の裁きを。そのための『神』と『鬼』だ。」
「ははっ。“鬼神”日月智也。流石、【彩牙】リーダー。」
そんな会話をして、その日を終えたのだった――
これにて第一章は終了です!次回からは、割とスプラッタ要素強めです。苦手な方は辞めといた方が良いかも。
あ、ブクマ、評価よろしくお願いします。