第十二話「絶望」
「嘘だろ。な…………んで。アレが。」
智也は、久し振りの死に翻弄されながら、ひたすらにアレ……髑髏蝿について考察する。
「アレが。アレが存在してるなんか嘘だろ。そんな馬鹿な。なんで。なんで!大罪の悪魔がいやがんだよ!」
大罪の悪魔。それは、人に、あらゆる疫を流行らせ、更に人々を決して消えることの無い食欲で喰らい続けた蝿……嫉妬に狂い、海にやってきた者達を屠り続けた海の巨蛇……怒りを人々に植え付け、数多の負の感情の元を創り出した最強の魔神……傲慢の力を持つ堕天使……何事にも怠惰な魔神……強欲にもあらゆる欲を満たそうとした双頭の鳥……色欲の合成獣。以上が大罪の悪魔なのである。しかし。大罪の悪魔は、本来全て消滅していたのだ。しかし、実際は、暴食の蝿『ベルゼブブ』のみは生きていたのだ。
だからこそ、封印という手を使い無力化していたのだ。だが、何を隠そう、【ZET】のエルダが解き放ってしまったのだ。
「あぁ。どうすりゃあいいんだよ!クソ!」
「死ねばいいと思うぜ?」
「は?」
そこに、眼前に……立っていたのは。片目が紅で、もう片目は碧のオッドアイを持つ、男性だった。そんな、風格漂う男が応えた。『死ねばいいと思うぜ』っと。
「お前も……敵か?」
「勿論。元『狂姦』。現【ZET】下層部No.10ヴィート•アザリア是非、覚えろよ。なぁ?」
「【弟】。」
「ふ」
瞬間……。何も出来ずに地面に叩きつけられる。背中と後頭部はパックリと割れ、血液が溢れ出てくる。正に『致命傷』と言うべき傷だ。
「ぁ、ぉまぇ……が!」
最期の最期まで、血反吐を吐きながらも叫ぼうとする。その姿は誰の眼から見ても哀れで――
また、命を溢れ落とした。
だんだんと死に戻りの金字塔に似て来ましたが気の所為です。
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