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虚弱なヤクザの駆け込み寺  作者: 菅井群青
第二部
54/102

動物たち街へ行く


 駅の改札に光田が立っている。心はゆっくりと背後から近づくとその背中に触れる。


「光田様……」


「うぉ! なんや、気配消すなって、くノ一か!」


 光田が目を見開き胸を押さえる。

 その大げさな動作も心の胸を高鳴らせる。


 今日はお付き合いしてから初めてのデートだ。思いが通じた日、思わず光田の尻を鷲掴みにした。あの後は光田は明徳会のお付きの運転手に心を押し付けて全力ダッシュで切り抜けた。


 ただ、運転手は半裸の幸田を見て胸元から武器を出そうとした。側から見れば可憐な少女を襲ったヤクザだろう。

 付き合ったばかりの二人とは思えない関係だ。

光田は自分の身を守ることに必死だったらしい。


「光田様、私たちおつきあいを始めました」


「なんや、その冷やし中華始めました的な言い方」


 心が光田の胸元を上下に撫でる。


「質問です、付き合った初日にやることとはなんでしょうか?」


「そりゃ、簡単だ。手を──」


「とりあえず正常位ですわよね?」


「おい、だから一人スピードが違うって! ペース配分間違ってるって言うてるやろ」


 光田は撫でられた手を掴む。

 そのまま下に下ろす。


「こうして恋人繋ぎして街を歩く──これが初日や」


「…………」


 心が珍しく何も言わない。

 光田が心の顔を覗くと桃のように頰がピンク色に染まっている。光田と目が合うと次は真っ赤に変化した。


え? なにこの純な反応……。さっきまでの正常位発言と同一人物に思われへんねんけど。


 光田は面白くなり指で心の頰をつく。みるみる心は頰を膨らませて光田を睨む。


「こ、子供扱いしないでください!」


 意外な一面に光田は笑いが止まらない。むちゃくちゃエロいくせに変なところ純情で……。


ん? それって……組長と似てるか。


 光田は心の耳元で囁いてみる。


「心……デート、楽しみやな」


 心が今までで一番真っ赤になる。それ以上に恥ずかしいことをしているのに本当にこの反応は面白い。


 そのままゆっくりと二人は街を歩き出した。


 その後……恥ずかしさに慣れた心に突然路地裏に連れ込まれて光田は口内を存分に弄ばれた。


 さすがに抵抗はせずそれを光田は受け入れた。女豹の心と純粋な心に光田は陥落してしまったようだ。


 ただ、調教云々の話が出たあたりで光田は制止を振り切り逃げ出すことになった。


「俺はあかん! 絶対あかんからな!」


「光田様、いけませんわオイタしちゃ……〇〇は初心者向きですの……私も通販で──」


「このドアホ! そんなんするからどんどん方向性おかしくなるんやろが! すぐに解約返品せぇ!」


 二人の攻防はまだまだ続くらしい。

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