第53話 ドレスアップ?
「紫乃ちゃん!」
眠り姫のように眠っている紫乃にマカオは駆け寄ろうとするが、
グニャ、ピチャ、
まだ半溶けになっている肉塊を踏む感触がマカオを不快にさせる。
「気持ち悪い!グロい!やな感じー!」
そんな事を言いながらも紫乃のもとにたどり着く。
黒い球体の破片は、コンクリートのように硬く、感触的にも足場としても、一安心出来るとこものではあった。
「紫乃ちゃん!紫乃ちゃん!」
マカオは紫乃の体を揺らしながら目を覚まさせようとする。
「うぅ...あれ?マカオさん?」
「ちょっと?えっ?紫乃ちゃん!?」
紫乃の左目が白目だったところは黒く、虹彩が青くなっていた。
「!フローズヴィトニルは!?」
紫乃は自分の体が変わっていることに気づかず、先ほどまでの痛みを思い出し、フローズヴィトニルについて聞く。
「...あれよ」
マカオは肉塊を指差す。
「えっ?あれが?」
「えぇ...なんかわからないけれども溶けたわ。」
紫乃の頭には疑問が浮かぶ。
それはそうだ溶けた、なんて信じられるわけがない、あの硬い鱗があったからだ。
だが目の前のそれが溶けた事を意味していた。
そして現実逃避するために別の視点へと切り替わる。
「あとそれでマカオさん。なんで私はドレスを着ているの???」
「えっとー、それはー...」
マカオは返答に困る。
それはそうだ溶けたフローズヴィトニルのなかからよくわかんない物体が出てきて、そこから紫乃が出現。そしたらドレスを着ていた、なんて...
「まさか!マカオさんが着替えさせ?!」
紫乃は思いっきり勘違いをした。
顔を真っ赤にししきりに「もうお嫁に行けない」と呟く。
「違う違うから!えっとー、もう全部話しちゃったほうが良いわね...」
マカオは紫乃が食べられてからのことを全て話す。
謎の光も球体も、溶け始めた状況も逆位置のタロットの事も...
「えっと、そのすみませんが、そのまた訳わからないんだよぉぉぉぉぉ!!!!!」
多分3度目くらいの叫びである。
次回かそのまた次あたりで合流予定です。




