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第50話 呪器

《貴様ぁ!ワレの物を横取りするなぁー!!!》


フローズヴィトニルの標的が変わったのがわかった。

フローズヴィトニルが向かった方向は大砲のある方だった。


『こっちに来るぞ!』


彼らは引かない。

死ぬと分かっていてもそれを殺すまでは引かない...引かないのだ。



「紫乃ちゃん?」


マカオは紫乃が蹲っているのを見て大丈夫か?と聞くがすぐに察する。


紫乃はこの世界に来てから一度も人の死を目の当たりにして無いことに。

マカオは紫乃の背中をさすりながら隣で立ち尽くしているカルに大砲のことを聞く。


「ねぇアレは何なの?」


「あれは呪器(ジュキ)の一つ、『コンシビィレイション』.....古の文字で『対価』と言う意味がある。」


「ちょっ、ちょっと待って呪器って何?」


「呪器とは、マリディチテタール、一族が作った魔法を超えた力を使える器のこと。その製法は一般的には(・・・・・)明らかになってないけど、アレは人を使って作られている。」


「人を...使って...?」


人を使って...それは現代ではおかしなことかもしれない。けれども昔はそんな事は無かった。

人の命とは無我にされ裕福な人がそうでない人を買っていた。そんな時代があったのだ。

それはあっても仕方のない事ではあった。

だけれども現代に生きていたマカオにとっては、吐き気のする事だった。


そんな吐き気に耐えてるとまた紫電が一瞬周りを走った。


「!、また撃ったか!クソッ!」


今度は顔面に命中する。


だがその威力は先程より落ちていた。

その為かフローズヴィトニルが突っ込んでくるスピードは落ちない。


《だから喰らうんじゃない!?それらは我のだ!》


「カル!どうすんのよ!あなた大手の団長でしょ?私は時間を稼げばいいの?」


マカオはカルに聞く。

紫乃はまだ蹲っているが、この状況に少しずつ慣れてきたのか先程より顔色は良かった。


「マカオさん私も...行きます...」


「紫乃ちゃん!...ダメよ無理してるでしょ!」


「でも!このままだと全滅です!」


「そうだけども...」


マカオは考えていた。行かせてもいいのかと。確かに紫乃はクラウドネル・ファナレルに剣を一年も教わっていて確かに紫乃が強い。

けれども紫乃はまだ未成年であること、そして紫乃のタロットのこと。

そこがどうしても気にかかっていた。


「分かったわ。でもいつも言うけれども無理はダメだからね。」


「もちろんです。」


「カルさんそういう訳だから、時間は稼ぐから彼らと共に一度逃げてください。多分死にますが」


「そう言われて送る人はいませんよ?」


「そうですね、あっあとアリドゥもお願いします。」


「わかりました。それではご武運を。」


そう言って紫乃とマカオは龍退治をするとこになった。

あと1ヶ月でバレンタインですね、私は男ですが、貰わずあげる側です。頭おかしいと思います。


読んでくださってありがとうございます。

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