第45話 不安材料しか無いじゃないか
「はぁ、嫌ねぇ、こんなキャラバンって案外めんどくさい物なのね...」
マカオさんはため息をつきながら辺りを見ていた。
そもそもキャラバンとは集団で動き、盗賊や略奪者から荷物を守るために複数で動く。
はずなのだが、今はたったの2グループしかいない。
だが一つのグループかなり大所帯ではあった。
私達が乗せてもらっている『シルク』と、もう一つ『バラーラ』というとこだ。
ちなみにシルクの方が大所帯である。
もはやキャラバンとは言い難いし、護衛という立場に関しても私たちしかいないようなものだった。
「おねぇーちゃん。お腹すいた...」
最近のアリドゥは成長期なのかよく食べる。
一回の食事量は少ないものの5歳にしては大体1時間ごとに「お腹すいた」と言ってくる。
料理は主にマカオさんが担当しているためマカオさんが「はいはい」と言いながらバケットからサンドウィッチをだし、アリドゥに渡す。
そしてマカオさんは毎回「らっぷが欲しいわ...」と呟く。
それを何回何回も繰り返す。
アウスカヒ王国を出発してから3日がたった。
それまでは何事もなく1日が終わっていた。
そして、キャラバン全員で明日の進路のミーティングが始まった。
「お疲れ様です。無事3日目を終わることが出来そうです。」
シルクの団長、カルの言葉の後周りの人たちは一気に騒がしくなり、あちこちで酒が飲み交わされる。
「それでですね明日は通常ナルグ草原を通る、正規ルートで行こうと思うのですが...」
カルが口籠る。
「おいおい、どうしたんだよ?!なんか変な事でもあんのかぁ?」
ほんのり酔っているであろう男はカルにダル絡みしそうな言い方をする。
「ほら昨日血相を変えた商人が居ただろ?」
昨日----
「あぁ、それは2番の積みにに追加してくれ。」
途中であった商人と信用買いや、普通に売り買いなどをしている時遠くから大きな音を立て走ってくる荷馬車があった。
「ん?あれボイドじゃねーか!おーいボイドー俺だー、ドグルだー!止まれー。」
どうやらドグルという商人はそのばしゃに乗っている人物を知っていたようだった。
荷馬車は彼らを少し過ぎたところではあったが止まった。
「おいおいどうしたんだよ?」
ドグルはボイドにそう聞く。
ボイドの額には汗が吹き出しており、顔は蒼白だった。
「おい、お前ら向こうへは行くのか...?」
彼は言葉に詰まりながら私達に聞いてくる。
「いや、俺は向こうから来たからいかんが、カルさん達のシルフとあのバラーラが行くがそれがどうしたんだ?」
ドグルがそう言い終わるとボイドは荷馬車から滑り落ちるように落ち、立ち上がりカルの肩を掴んだ。
「やめとけ!迂回するんだ!どんなに遅くなろうとも、あそこに居たんだよ!フローズヴィトニルが!」
「あの獣がか!」
フローズヴィトニルこの世界では商人達にとっては厄災に等しい獣である。
彼は何故か街には入ってこないが、商人達を襲う。
そしてギルドはこの獣を指定災害獣とし、狩るものが現れるのを待っているが、挑んだという報告はあれど、倒したという報告は一切なかった。
そんな獣である。
「でもお前、よく生き残れたな!」
ドグルは彼が生き残れたことに幸運だと言わんばかりの声のトーンで言った。
だが彼にしてみればそれは自分だけ生き残ったという現実と目の前で仲間や知り合いが殺されてゆく恐怖を知らされたので喜べなかった。
「なるほど...な」
その話を聞いて彼は少し黙った。
けれど直ぐにまた口を開いた。
「だがフローズヴィトニルは大抵1日で姿消すだろ?もう居なよ。多分...」
「あぁ、ならいんだがな...
だがまあ皆!このルートで行く。もし奴が居たらできれば合図して欲しいが、何より自分の命と、荷物を大事にだ!わかったか?!」
「「「「「了解!!!!」」」」」
こうしてキャラバンは正規のルートを行くのであった。
最近食欲のせいでお腹が消失します。やばいです。
読んでくださってありがとうございます。




