第39話 再会
なんか長くなってしまっている現状にヤバいなと感じでいる今日この頃です。
「えっ!、マカオさん!?」
紫乃は慌てて受け止めようとして両手を伸ばし、お姫様抱っこの人がいないバージョンの形になる。
が、紫乃はマカオを受ける事は出来なかった。
何故なら紫乃とマカオにいる次元が違ったからだ。
そうこの世界の魔法とはなんともデタラメである。
勢いよくドシンと地面に落ちたマカオは怪我もなく何故か生きていた。
これが物語補正である。
これもまたデタラメである。
「あの、マカオさん?大丈夫ですか?」
紫乃はしゃがみ、地面に転がっているマカオに尋ねる。
「だ、だいじょうぶ、なわけないわよ...いたいわ。物凄く痛いわ......てゆうか受け止めて...」
だって次元がズレてたこととか忘れてたに決まってるじゃんと思ったがマカオに混乱を生むだけと思った紫乃は言葉を飲んだ。
「マカオさん!動かないで!」
プルプル震えながらも動こうとするマカオに紫乃は慌てて回復魔法をかける。
だがこの時紫乃は何故これで傷が癒えるのかすごく気になっていた。
だが次の言葉でそんな疑問は掻き消された。
「ちょいちょいちょーい、紫乃ちゃんまでいるのかよ。全くこれはまずいなぁー...」
空に浮かび見下ろしながら、彼は言う。
「お前!あの時の!」
紫乃は自分がこの世界に来た原因に向かって指を指す。
その状態にルリナは頭を抱える。
だが彼にその余裕は無かった。
ルリナを含めこの場にいる全員が大きな影に包まれた。
影の正体を知ろうと上を見上げる。
影の正体は巨人だった。
いや巨人の形を模した煉瓦の塊だった。
「なに...あれ...?」
一人がポツリとそう言った。
その煉瓦の巨人からルリナに向けて無数の雷が降り注ぐ。
『塔雷の矢』
雷により無数の光とともに、辺りの木は焼け火が燃え広がる。
皆無事ではあったが、雷の光により何人かは目が一時的に見えなくなっていた。
「マカオさん。上で何があったんですか?」
紫乃はマカオに回復魔法をかけながら聞く。
が、その答えは後ろから聞こえてきた。
「塔のカードをルリナが奪おうとしたが、所持者が半暴走状態に入って交戦中というわけですよ。紫乃様」
声の主はプレイディークトムだ。
彼は淡々と言う。
そして上を見上げ両手を上げて「両方とも崩壊の意味を持つとは!なんたる偶然!」そう言うと彼は黒い渦を出した。
「それでは皆様!少し濡れますがどうかご勘弁を。」
プレイディークトムはお辞儀をすると、黒い渦は次第に大きくなりルリナの真下あたりに移動すると、次第に回り出した。
「おいおーい、まじで?えっまって、え?あっちにも被害でるよ?」
ルリナはプレイディークトムのやる事が分かっているかのような反応をする。
黒い渦が残像で円に見え始めるとその渦からは大量の水が出てきた。
その光景を見た紫乃はアリドゥの手を握り、マカオに肩を貸しながらまた「私に近づいてください」と言っているカーファの近くに行く。
カーファはえいっと言いながらまた次元をずらしたらしい、あれ?詠唱は?と思ってたらカーファは「さっきのずらした次元が残っていたので今回は必要なかったんです。」と説明してくれた。
大量の水より鎮火されていく光景に、
いやこんな方法で鎮火する必要ないよね。と
紫乃とマカオは強く思ったが言葉を飲んだ。
水は紫乃たちを覆うほど出たが、彼女たちの半径5m程には水は入ってこなかった。
カーファの次元をずらすの影響らしいが、紫乃とマカオはピンと来なかったようだ。
アリドゥはこの光景に目をキラキラと輝かせていた。
そして大量の水は9割近くはどこかえと流れていっている。
「あはは、流石プレイディークトム。いや時の 整律者!」
ルリナはプレイディークトムを見てそう叫んだ。
けれど、そんな事が出来たのはほんの僅かだった。
「貴様にその余裕なんてあると思うんじゃねぇんだよ!」
また、煉瓦の腕がルリナに直撃した、
はずだった。
「だーかーらーさー、そろそろ分かんない?僕には君たちの攻撃なんて絶対に当たんないの!いーい?彼女の次元をズラすとはまた別なの。だから絶対に当たるわけがないの!あっでも僕の攻撃は当たるけどね!」
ルリナはクスクスと笑う。
煉瓦の巨人の腹の部分の煉瓦がポロポロと崩れなかから菅塔矢が出てくる。
菅塔矢の身体には無数の杭が刺さっていて、血塗れだった。
「て、てめぇなにをじた?!」
菅塔矢は血塗れのなかルリナに普通のことを聞く。
だが血を流しすぎたのか、老化と怪我によるものなのか、あるいはその両方かは分からないが彼は巨人の腹の空洞でバタッとと倒れた。
流れている水と共に彼の血も流れていった。
「菅塔矢さん!」
マカオの声が響く。同時にルリナの笑い声も響く。
「アー面白いなー、ほんっとうに人間は僕を笑わせてくれるよ。」
ルリナは右手を掲げる。
すると右手の上に菅塔矢刺さっている杭の一回りも二回りも大きな杭が生成されていた。
「トドメいくよぉー?」
ルリナは軽いノリでやるかのような声を出し、杭を投げようとしている。
「だめ、だめよ。アイツにタロットを奪われては駄目よ。」
マカオは脳裏にルリナがタロットを使っていたのを思い出す。
そしてそれは自分のタロットで『デミ』を発動できるのを知ってしまったから。
「紫乃ちゃん、菅塔矢さんが死ねばルリナに『16.THE TOWER 塔』は奪われてしまうの!詳しいことは後で話すわ...だから今はアイツに攻撃させないで!」
怪我をして、何も出来ない自分を責めながらマカオは紫乃に自分の思いを託す。
タロットの持ち主の死がこの場で1番避けねばいけない事を。
だが紫乃にとって『死』とは地雷であるとは見ず知らず。
紫乃は『死』と言う言葉に他人よりも敏感だ。
それは彼女の思考にある。
彼女達にとって『死』とは生きてゆく上で避けられない。
生と死は一体、生があるから死がある、死があるからこそ生がある。
そんな事は彼女にも分かっていた。
けれどその先にあるものは暗闇で何も分からない。
その事実が彼女を苦しませる。それをルリナは知っていた。彼女がこの状況で動けなくなる事を。自分が失敗すれば他人に『死』を与えてしまう状態を。
紫乃は左胸を押さ、早くもなっていない鼓動を感じながら息苦しくなる。
彼女の頭には失敗したしたらと言う事で頭がいっぱいになる。
「紫乃ちゃん?」 「おねえちゃん?」
二人はそんな紫乃を見て心配して声をかける。
けれどもこの状態の彼女には何も聞こえない。
聞こえたとしても、返事を出来なかったであろう。それが『死』の狂気に囚われると言う事だから。
アリドゥはそっと紫乃の手を握り「大丈夫だよおねえちゃん」と言う。
すると紫乃の呼吸は少しずつではあるが落ち着いてゆく。
人といる時ほど『死』を忘れる傾向にあったから。
紫乃は正気に戻るとアリドゥの頭を撫で「ありがとう」そう言って杭を撃ち落とすためにシュシュを弓と矢に変形させる。
でもそれは遅かった。
「アハッ。待つわけないじゃん!」
ルリナは杭を投げた、はずだ。
でもどこにも杭は無かった。
キンッ、と金属音がこの場に響いた。
『マスター。ルリナを確認。交戦に入ります。』
そこにいたのは、機械人形だった。
ノマさんとかはずっとどこかにいます(何も考えていなかったとかではけ、決してないと思いたいです。)
読んでくださってありがとうございます。




