第36話 乱入者
そう言った途端、菅塔矢が宙に浮いた。
彼の周りには何もない。
だが確かに彼は宙に浮いており、首には索条痕が徐々に出来ている。菅塔矢はそれに抗おうとするがその何かは掴めない。
彼の首に引っ掻き傷が出来るのみである。
「ふふっ、あはは!ねぇ苦しい?苦しいよねぇ?でも君は死にたがってたよねぇ?どーぉー?目の前にほんの数秒先に死という概念があるのは、どんな気分?ねぇ?ねぇねぇ?」
ルリナはこの行為を楽しんでいると言わんばかりに、壊れた笑みを浮かべる。
マカオはその光景をただただ見るしかなかった。
彼は心がこの光景を見ることを拒んだのだ。
彼は心では助けないとと、思ってはいた。
先程会話の流れでルリナを指をし『6.THELOVERS 恋人』と言った意味がなくなるからだ。
彼は日本人だ。
オカマだとしても日本人だ。
死という言葉に慣れていても、いざ人が目の前で死ぬ、そんな時皆が皆動けるのだろうか?
中には動ける人はいる。それは勇敢だから、偽善者だから、彼は動くことが可能であろう。
だが、そうでない者は?
彼のように動けないかも知れない。
人とはそういう生物である。
「おやおや、予言の書通りの状況ですね。」
彼は突然現れた。
黒い渦の中から。
「なんでお前がいるんだよ!」
ルリナは彼を見て怒りの感情に変わった。
「我が行く道はこの予言者に記されております故。」
そうプレイディークトムだ。
あのカラスのようなマスク、ペストマスクをしている者などマカオの記憶には彼しかいない。
「また預言書か!何故だ!何故その預言書には俺の事も記される!俺は理の外を行く者のはずだ!それには絶対に記されない存在ではないのか!?」
彼はプレイディークトムの方に注意が向いたのか、菅塔矢への攻撃が止まっていた。
「ゲホッゲホッ...」
菅塔矢は崩れるように地面に落ち、急激に体に入った酸素をゆっくりと受け入れながら、自分がまだ生きているということを確かめていた。
「さぁ?私には全くもってわかりませんな。この本は起こることを記す。それしか分かりませんなぁ。」
表情は見えないが、彼が仮面の下で笑みを浮かべた気がした。
「さて、あまり気乗りはしませんが預言書通りに事を進めるとしましょう。」
そう言ってプレイディークトムはまた預言者を開きはじめた。
普通に投稿するの忘れてた。orz
読んでくださってありがとうございます。




