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猫の出アパート記
猫は弾圧されていた。
固く閉ざされた窓は猫には開けることができなかったし
少しでも外に出れば、拷問部屋にて水攻めの刑に処された。
人は傲慢であった。
猫が隣人であることを忘れ、猫を犬のように扱っていたのである。
猫は家を出ることとした。
水道は昼間の間出しっぱなしになり
猫用トイレの砂は信じられないほど遠くまで散乱した。
それでも人は猫が外に出ることを許さなかった。
怒った猫は昼夜問わず扉の前で鳴き続けた。
切り刻まれたティッシュが家中に出現した。
ついに人は猫が外に出ることを許した。
これが出アパート記である。
こうして外に出た猫は、二日目の朝に空腹からアパートへ戻った。
あなたが猫とともにある限り
猫もまたあなたとともにあるだろう
人、猫とともにあれ