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ペルソナ・ノン・グラータ  作者: セアーコー
3/3

START & DASH

2月4日

今日の昼、迎えが来るらしい。

そして1つ決めたことがある。詳しい事は全くわからないが、俺はきっと今から何かに巻き込まれるんだろう。

でも、何があろうとこの日記は辞めない。俺はこれを、アンネの日記にするのだ。


追記、来た。黒い車で、ナンバープレートが青い。

4桁の数字の前に「外」と書かれている。止まった。俺の家の前に、いかにも偉い人が乗る車が来ている。

やばい。中から出てきた。黒い、中の人間も黒いぞ、黒い車から黒いのが出てきた。

その男はうちの表札を確認するとスタスタとドアに向かい、インターフォンを押した。


直、と俺を呼ぶ母親の声に応え、俺は玄関まで出ていった。


「では、息子さんは我々が責任を持ってお預かりします」

黒服の男はなんだか、焦っているように見えた。

母親はもう泣いていなかった。

気をつけて、無理しないで。とそう言って俺に御守りを渡してきた。家内安全、とある。

「これ持ってればいつでも〝家内〟にいることになるから!1人じゃないからね!」


そんな無茶な、と思ったが何だか泣けてきた。


黒スーツ男と車に乗ってから、とにかく気まずかった。この人なんにも喋らねぇ。

俺は知り合いとの沈黙は大丈夫だが、全然知らん人との沈黙は無理なタイプだ。誰か助けて。


「あのぉ、俺ってどこ連れてかれんですかね?」

「実は、なんも聞かせてもらってなくて。何か家出るまでは何か現実感なかったというかなんか、全然不安とか無かったんですけど、家出た瞬間めっちゃ不安になってきたんですよね」


ここまで俺が喋った時間、大体15秒。黒スーツの人、0秒。頼むから何か言ってくれ。


「てか、いきなり封筒届いて外務省に呼び出されたんだから最初から不安になれっつーの!」

だめ押しにジョークを付け加える。

なれっつーの!の後に絞り出した愛想笑いは、高速の風切り音に紛れてフェードアウトしていった。てか俺「なれっつーの!」とか初めて言ったし。恥ずかしい、家帰りたい。


「来やがった!」

「えぇ、初めてなんか言ったと思ったらそれですか」


何かが来やがったらしい。後ろを見ると、あれ?今乗っているのと同じく、青ナンバーの車がかなりのスピードで俺達を追いかけてきていた。


「あの、仲間とかじゃないんですか」

「いや、違う」

初めて応答してくれた。ちょっと嬉しい。センキュー黒服。フォーエバー黒服。


黒服さんに永遠の感謝をしたその時、黒服は突如猛スピードで飛ばし始めた。タイヤが無理をしているのではないかと思うほどのスリップ音が後輪から俺の身体に伝わり、斜めに思いっきり投げ出されそうになった俺はシートベルトで胸を圧迫されて苦しかった。


ふと気がつくと高速を出ていた。すると渋滞だ。


「くそ...ふざけんなよ」

黒服さん、一旦喋ったら割と頻頻に何か言うみたいです。


いつの間にか追ってきていた青ナンバーに後に付けられている。

このままでは埒が明かないと考えたのか、黒服さんは俺を車から連れ出して逃避行を始めるつもりらしかった。

「いや、あの、同じ外務省の車何ですよね?じゃあ別にそんな逃げなくても。忘れ物とかしちゃったんじゃないですか?んで届けてくれたとか...」


黒服さんは俺の言うことなどまるで耳に入っていないようだった。

そうこうしているうちに追っ手は車から出て来て、いつのまにか背後を取られていた。


「渡辺3等書記官、君凄い事するね。誘拐はしちゃダメだろう」


追っ手は渡辺と呼ばれた黒服さんよりも少し年上に見えた。短髪に、黒眼鏡の大仰な喋り方をする男だった。


「あんたがたは間違ってる!いくら、いくら国の為といえ侵略のための外交使節団など!」


「侵略じゃない、単なる国策だ。君らの声高な主張は総じて感情論で、もう聞く気はない。霞ヶ関もそういう態度だ、知ってるだろ?」


まだ何かブツブツと呟いている黒服さん=渡辺さんを放って新しく来た黒服さん=追っ手が俺に自分の車に乗るよう手招きした。

もう何が何だかわからなかった。どうにでもなれと思って招かれるままに車に乗った。


ラノベとか、なろうっぽい話し方に書けたような気がするな。どうなんだろう。

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