表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

天使達の采配

「ラファエルが悪魔祓いしようとして、センセエはそれを逃れようとして落ちた……ということ?」


 ガブリエルは眼鏡の奥の目を瞬かせつつ、確かめるように尋ねた。


「そう。でも結果としてサラ様は死んでしまったから、悪魔祓いは成功したわね」

「それはわからないわ。現実には貴女が祓ったわけではないし」


 ラファエルはその指摘に大仰な様子で首を振る。


「その証明は無意味じゃない?大事なのは、私がサラ様を殺してしまったということよ」

「そうかしら」


 食い下がるガブリエルに対して、ラファエルは気取った様子で自論を展開する。


「言霊という言葉があるでしょう。旧約聖書ではルーアハとも言われている。言葉と言うのは大事だわ。「私が」サラ様を殺した。「私は」サラ様の異変に気付いた。「私に」サラ様は微笑みかけてくれなかった。それは私の話の中では、正しいことなのよ」


 威圧感すらある口調に、ガブリエルは黙り込む。

 しかし、ミカエルがゆったり口を挟んだ。


「駄目よ、ラファエル。反則だわ」

「何が?」

「自分の言葉が正しいと言うなら、物事は正確に伝えるべきよ。白居易は古楽府ではなく新楽府でしょう」


 ラファエルは虚を突かれて黙り込んだ。

 他の二人は元から、そこに入り込む言葉を失っていた。

 静かになった礼拝堂に、ミカエルの声が響く。


「私の知っているサラ姉様の死んだ理由を教えてあげるわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ