15章 色褪せることなく胸に輝く
どうも、剣 夏向ですー!
語ることもないんで始めます!
It's show time!
「…に、仁夏?」
「おお、名前は覚えてたんだネー。まぁどーせ今思い出したんだろーけどさ」
冷たい言い方、人を見下したような顔、本当に仁夏なのか?
全員がそう思った。仁夏は優しくて可愛くておとなしい娘だったのに。
「はは、どーせ優しくて可愛くておとなしい娘だったとでも言いたいんでしょ?まぢ、うざ。つか、単純すぎ。逆にウケるw」
「そ、そこまで言わんでもええやん。何があったんや?」
おどおどと聞く香奈。
しかし、答えも無情だった。
「はーあ。香奈も相変わらずね。脳筋で何にも理解できやしない。バカは100まで治らないのよ〜」
「なっ…!」
怒りのあまり口も聞けず唸る香奈。
これには全員唖然とした。
あの…優しかった仁夏が…。
どうしてしまったのだろうか?
「はは、その間抜け顔ウケるwなんで変わっちゃったかって言いたいの?教えてあげる」
仁夏は二ヤァッと薄気味悪い笑みを浮かべた。
…この笑顔は…もしかして!
「エンデ様に助けていただいたのよ」
やっぱりか!
全員が顔をしかめた。
エンデは…幽霊までも利用するのか!
「アンタ達も見ればいいのに、永遠夢を…」
そう言うと仁夏はパチンと指を鳴らした。
すると後ろから気配が!
…と思った瞬間、World heroはその場に倒れ込んだ。
そして、眠りについた…。
「んんっ…!」
絵斗は身体を起こした。全身がズキズキと痛む。此処は一体…?
「おい!お前等!」
唐突に勝人が叫んだ。
「子供になってんぞ!?」
全員がバッと自身の身体を見た。確かに幼くなっている。
これは…仁夏の仕業だろうか。
「ねえねえ皆?どうしたの?」
「!?」
聞き覚えのある声。
可愛くて小さな声。
これは…
「皆何してるの?」
仁夏!?
全員が唖然とした。どうやらタイムスリップしてしまったようだ。
「ねえねえ!無視しないでよぅ」
「あ、大丈夫やで。気にすんなやー」
香奈がそうフォローすると世界がぐらぁっと揺らぎ、見える色がうねうねと変わった。
『なんで教えてくれないの…?私も皆の仲間なのに…World heroなのに…』
「!?」
仁夏は口を開いていないのに、仁夏の声がする。これは…仁夏の心の声?
そしてその声はだんだんと奇妙な声色に変わる。
『皆は私のコト仲間だト思ッて無インだ…』
「違う!仁夏は僕等の大事な仲間だ!」
絵斗の叫びも仁夏には届かない。
その声は続く。
『いツカは仲間ダト思ッてクレルカナ…?』
そこからその声は悲しそうな声に変わった。
『ソレマデ…待ッテル』
世界の揺らぎが大きくなった。仁夏の顔がぐにゃりと曲がり、酔ってしまいそうだ。
『ワタシモ…World heroダヨネ?』
絵斗は薄れゆく意識の中そんな声を聞いた。
仁夏…君の気持ちがわかったかもしれない。
絵斗はそう思ったが、遠くなる意識に勝てずそのまま倒れ込んだ…。
「…!」
目が覚めるとそこは元の場所であった。
冷たい目をした仁夏が仁王立ちでそこに立っていた。
「わかった?私の気持ち…ずっと待ってたんだから」
「…すまない。仁夏」
勝人が咄嗟に謝ったものの効果は無い。
仁夏は凍てつくような瞳で皆を見た。
「ずっと…皆を待ってたんだから…!!」
そう言った瞬間、薫と香奈が仁夏に抱きついた。
「言ってくれればよかったのに!!」
そう言って2人は泣き出した。
まるで…子供のように。
絵斗、勝人、英飛も3人の近くに寄った。
誰もがさっきのタイムスリップよりもずっと温かい懐かしい気持ちに浸っていた。
仁夏の目から涙が零れた。
「言ったら…入れてくれた?」
仁夏が尋ねた。
「馬鹿言わないで!貴女は…」
すると、珍しく薫が叫んだ。
「もう、仲間だったじゃないの!」
そう言った瞬間仁夏の目は氷がとけたように優しくなり、零れる涙は大粒になった。
「ありがとう…」
そう仁夏が呟くと、ふわっと暖かい風が吹き太陽の光が降り注いだ。
そして、涙を一杯に溜めた笑顔の仁夏の姿が薄れた。
「嫌!嫌や!仁夏、行かんでや!」
その香奈の声も虚しくやがて仁夏の姿は完全に見えなくなった…。
「…あっ」
英飛がふと空を指さした。
全員が見上げるとそこに…
「…虹だ」
虹がかかっていた。
読んでくださりありがとうございました!!!!!次回もご愛読よろしくお願いいたします!じゃあ、ばいばいっ(*´ ³ `)ノ