第一話
主人公のクズっぷりが足りないんで増やしました( ´・∀・` )
あと剣技使ってないのに極められた剣技とか書いてた(´<_` )
「セリアス!お前に決闘を申し込む」
俺の声が聞こえる。
あの日決闘を申し込んでいなければ、いや、それ以前の問題か。
セリアスに対して彼は徹底的に嫌がらせをしてきた。
自分が特別であると、自分に納得させるために、無駄なプライドを守る為だけに。
その日はセリアスの周りの友人に嫌がらせを行った日だった。
彼女の友人を囲い、脅していた、そこにセリアスはやって来た。
彼女は友人を庇うように立ち、ラキア達に言った。
「どうしてこんな事をするの?」
彼女は感情を感じさせない声でそう言った。
「やめて欲しいのか?」
ラキアは煽るようにそう言った。
「決闘しろ、俺が勝ったらお前は自ら退学するんだ、もしお前が勝ったらお前への手出しを一切しない」
「いいわ、受けてあげる」
決闘に持ち込む作戦は元々用意していた、いきなり見つかったため予定が早まっただけだ。
俺には勝つ算段があったのだ。
ラキアは努力せずとも良い成績が取れた、生まれながらにして身分も高い彼は特別なのだと、驕っていったのだ。彼は自分より身分が低い癖に才能だけで持てはやされる存在が、気に食わなかった。
(俺が負けるはずがない!)
傲慢だった。
試合は次の日の放課後に行われた。
ラキアは相当嫌われていたらしい、結構な数の観客が集まったが、声援がセリアスに対してしかなかった、その多くが彼の敗北を望んでいたのだろう。
試合は魔法禁止の木剣での戦いになった、相手には脆い木剣を持たせるよう、ラキアはレフリーに指示していた。
「セリアス、貴様のような平民じゃ私に勝てないことを教えてやる」
「・・・」
煽りに対してセリアスは無言だった、彼女は心の中を見透かしたような視線でラキアを見ていた。
その視線に俺はイラっとした、舐めるんじゃないと、怒りが沸いた。
「試合開始!」
レフリー役の教師が試合開始の合図を出す。
ラキアは馬鹿だったが、戦闘センスは高かった。
だが、勇者は次元が違った。
「ッ!?」
斬りかかり、攻撃を当てたと思った。
気づいたら倒れていた、相手は剣を使わず足だけで俺を倒していた。
「舐めるなッ!」
屈辱だった、怒りに震え、立ち上がり、再び斬りかかる。
武器さえ破壊すればこちらにも分があるはずだった。
すると、勇者が初めて口を開いた。
「やっぱりあなたは弱い」
舐めきったその一言に俺はキレた。
短気すぎるだろうと今なら思うが、当時の俺には効果覿面だったらしい。
だが、現実はそんなに甘くはなかった。
相手は剣を使わずに全てを捌き、圧倒してきたのだ。
最後の光景は、可哀想なものを見る目の勇者と、迫ってくる木剣だった。
「知らない天井だ」
気づいたとき、保健室にいた。
負けたのだ、初めての敗北だった。
(俺は弱くない!)
敗北は勝利より学ぶことが多いらしいが、当時のラキアは真っ先に言い訳を考えていた。
弱い上に臆病者だった、無駄なプライドが傲慢さを増長させた。
保健室から出て、学園を歩く。
周りの視線は俺を嘲笑っているかのように感じた。
寒い、こんなに寒いのは勇者のせいだと八つ当たりぎみに思ってしまう。だが、これは俺のせいだ。
俺が弱かったのだ。
寒さが現実のものへと変わる、どうやら本当に寒かったらしい。
嫌な夢を見てしまった。
「ここはどこだ・・・」
寒さで身と心が凍てつくようだ、濡れているせいだろう。
全身に痛みが走るが、あんな崖から落ちたわりに酷い怪我はないようだ、だがこのままでは命に関わるだろう。
ともかく、火を起こして体を暖めなければ。
焚き火の作り方は授業でなら習っていた、何か薪になる物を探さねば。
知らない天井だ